タイ大麻法アップデート2026:農家が知っておくべきことと今すぐ確認すべきこと

この記事では、2026年9月時点で農場と店舗に適用されるタイの大麻規制をまとめます。現在施行されている法令、2025〜2026年の変更点、自分のライセンスで確認すべき点を説明します。

タイの法令では、年を仏暦(B.E.)で表します。仏暦は西暦より543年進んでいます。仏暦2568年は2025年、仏暦2569年は2026年です。

法律の現状(2026年9月時点)

大麻の花穂(ช่อดอกกัญชา)は規制ハーブ(สมุนไพรควบคุม)です。そのため、タイ伝統医療保護法(Thai Traditional Medicine Protection Act)仏暦2542年(1999年)が適用されます。花穂を研究、販売、加工、輸出するには、この法律に基づくライセンスが必要です。

花穂を規制ハーブに指定したのは、保健省告示「規制ハーブ(大麻)」仏暦2568年です。この告示は2025年6月26日から施行されています。

新しい法律も準備されていますが、まだ施行されていません。内閣は2026年9月22日に大麻管理法案(Cannabis Control Act)を承認し、下院に送りました。この法案は、以前は大麻・ヘンプ法(Cannabis and Hemp Act)という名称でした。

法案が法律になるには、国会で可決され、官報(ราชกิจจานุเบกษา)に掲載される必要があります。官報は、タイのすべての法律を掲載する政府の公式刊行物です。それまでは、3つの法令がルールを定めます。上記の仏暦2568年告示と、後で説明する仏暦2569年の2つの省令です。

訳者注:この法案を理由に、ライセンス、スタッフ、投資の計画を変えないでください。法案の内容は国会審議でまだ変わる可能性があります。引き続き、施行中の3つの法令に従ってください。タイ語の原文は自分で読むこともできます。読み方はこちらのフォーラムのトピックで説明しています。

変更点1:大麻の花穂は規制ハーブになりました

花穂を合法的に購入するには、有効なPT 33(ภ.ท.33)処方箋が必要です。PT 33は、規制ハーブ用のタイの公式処方箋様式です。発行できるのは、資格を持つ次の7つの職種です。医師、歯科医師、薬剤師、タイ伝統医療師、応用タイ伝統医療師、中医師、民間療法師です。

処方箋1枚で出せる量は、最大30日分です。

嗜好目的での使用(レクリエーション目的の使用)は認められていません。タイ国政府観光庁(Tourism Authority of Thailand)は、許可なく大麻の花穂を使用・所持・購入することは違法だとしています。個人使用に対する最高刑は、公開されている資料によって数字が異なります。公式の法令では、どの数字も確認できませんでした。特定の数字をあてにしないでください。

訳者注:一部のウェブサイトは「3か月/25,000バーツ」という罰則を載せています。しかし、この罰則は1999年法のどこにも書かれていません。同法第78条の罰則は、1年以下の拘禁、20,000バーツ以下の罰金、またはその両方です。この罰則は、ライセンスなしで規制ハーブの研究、輸出、販売、加工を行った人に適用されます(第46条)。ライセンス停止中に事業を続けた人にも適用されます(第52条第2項)。

やること: 花穂を販売している場合は、販売ごとに有効なPT 33があるかを確認してください。販売量が、その処方箋で認められた最大30日分を超えていないかも確認してください。こうすれば、すべての販売を処方箋ルールの範囲内に収められます。

変更点2:仏暦2569年の2つの省令

省令とは、既存の法律に基づいて大臣が出す規則です。2026年4月に2つの省令が施行されました。詳しくはこちらのトピックで解説しています。

省令1:THC 0.2%を超える抽出物

正式名称は、大麻又はヘンプ抽出物に関する省令 仏暦2569年です。2026年3月26日に公布され、2026年4月26日に施行されました。

  • THC 0.2%を超える大麻またはヘンプの抽出物について、製造、輸入、輸出、販売、所持を規制します。
  • こうした抽出物が認められる目的は、次の4つだけです。政府による麻薬取締り、医療目的での使用、医学・科学研究、工業用途です。
  • ライセンスを取得できる申請者は3種類だけです。1つ目はタイの法人で、タイで登録された会社などの法人を指します。ただし、外国人事業法 仏暦2542年(1999年)上の「外国人」に当たらないことが条件です。同法第4条では、タイで登録された会社でも、外国人が株式の半分以上を持っている場合は外国人とみなされます。外国人が総資本の半分以上を出資している場合も同じです。残りの2つは、政府機関とタイ赤十字社です。

省令2:大麻の花穂のライセンス

正式名称は、規制ハーブに関する省令(第2号)仏暦2569年です。官報に掲載された当日の2026年4月30日に施行されました。1999年法第4条で、こうした省令は官報掲載日に施行されると定められているためです。

この省令は、大麻の花穂のライセンス規則を変え、取得基準を厳しくしました。新しいルールで花穂の販売・加工を申請できるのは、次の5種類の施設です。保健医療施設、現代医薬品を扱う薬局、ハーブ製品店、民間療法師の施術所、販売目的で栽培する栽培施設です。タイ伝統・代替医療局(DTAM)のガイダンスでは、施設の種類ごとに適切な専門職が必要とされています。たとえば、薬局には薬剤師が必要です。ハーブ製品店には、タイ伝統医療師、応用タイ伝統医療師、中医師のいずれかが必要です。施設の営業中は、研修を受けたスタッフが常にその場にいなければなりません。

やること: 抽出物を製造または保有している場合は、バッチごとにTHC濃度を測ってください。そうすれば、省令1が自分に適用されるかどうかが分かります。花穂のライセンスを持っている場合は、省令2をタイ語の原文で読み、自分に当てはまる新しい義務をすべてリストにしてください。検査官に指摘される前に、農場や店舗のどこが基準を満たしていないかが分かります。

処方箋なしで現在も合法なもの

  • THC 0.2%未満の大麻抽出物。 省令1の対象外で、PT 33も必要ありません。
  • 根、茎、葉。 規制ハーブに指定されているのは花穂だけなので、これらの部位は対象外です。

訳者注:元の記事では、THC 0.2%未満の抽出物を「規制なし」と書いていました。これは言いすぎです。こうした抽出物から作った製品(食品、化粧品、ハーブ製品など)は、それぞれのカテゴリーで定められたタイの通常の製品規則に従う必要があります。どの規則が適用されるかは、タイ食品医薬品局(อย.)に確認してください。販売する前に、製品がどのカテゴリーに入り、そのカテゴリーでどの登録が必要かを確認しましょう。

禁止されていること

  • 大麻の花穂をオンラインで販売すること
  • 自動販売機で販売すること
  • 公共の場で大麻を吸うこと
  • 20歳未満の人に販売すること
  • 大麻の花穂を広告すること

やること: 店舗のSNSページ、ウェブサイト、メッセージアプリのアカウントを確認してください。花穂の販売をうたう投稿や広告にあたる投稿は、すべて削除してください。仏暦2568年告示では、実際の販売が店頭で行われる場合でも、こうした投稿は違反になります。投稿してよいこと・いけないことは、こちらのトピックで説明しています。

農場と店舗への影響

次の数字は、Siam Legalのウェブサイトに2026年1月28日に掲載された記事(参考文献に記載)によるものです。この記事は、数字の出典を保健省としています。報道によると、集計時点は2025年12月28日です。18,433は登録された大麻店の数です。ただし、どのライセンス種別を数えたのかは報道に書かれていません。

項目 件数
店舗の総数 18,433
閉店した店舗 7,297
営業を続けている店舗 11,136
2026年に有効期限が切れるライセンス 4,587
2027年に有効期限が切れるライセンス 5,210

正しいライセンスを持つ農場は、営業を続けられます。販売目的で栽培する栽培施設も、ライセンスを申請できる施設の1つです。確認したDTAMのガイダンスは、店舗と診療所の人員配置ルールを定めています。しかし、農場に医療スタッフの常駐が必要だとは書かれていません。自分の農場にどのルールが適用されるかは、ライセンスの担当窓口に確認してください。

訳者注:2026〜2027年に1万件近くのライセンスが期限切れになるため、実務上いちばん大きなリスクは更新です。今すぐ、ライセンスの有効期限を確認してください。更新申請をどれくらい前から出せるかを、ライセンスの担当窓口に問い合わせてください。担当窓口は、バンコクではタイ伝統・代替医療局(กรมการแพทย์แผนไทยและการแพทย์ทางเลือก)です。その他の県では、県保健事務所(สำนักงานสาธารณสุขจังหวัด)です。早めに申請すれば、より厳しくなった省令2の基準に合わせて問題を直す時間ができます。

訳者注:ライセンスを失う損失は、維持する費用よりはるかに大きくなります。罰則をしっかり理解しておきましょう。

  • 停止: 第52条により、1回の命令でライセンスを最長90日間停止できます。停止中に事業を行うと、前述の第78条により処罰されます。
  • 取消し: 第54条により、ライセンスを取り消された人は、2年間は同法に基づくライセンスを取得できません。2年が過ぎた後も、新しいライセンスを出すかどうかは許可当局の裁量で決まります。
  • 会社と経営者: 仏暦2559年(2016年)のライセンス規則第8条(1)(e)により、この2年間の禁止は、会社の取締役、経営者、その他の責任者にも及びます。この規則は、2016年12月9日付の官報第133巻第103号ก(Kor)に掲載されました。
  • 不服申立て: 第70条により、通知を受けてから30日以内に、タイ伝統医療知識保護・振興委員会に不服を申し立てられます。審理中も、処分の命令は効力を持ち続けます。第71条により、委員会の決定が最終となります。

罰則の全体像は、こちらのトピックで説明しています。

今月のチェックリスト

  1. ライセンスの有効期限を書き留め、リマインダーを設定する。 期限が切れる前に、更新に必要な時間を確保できます。
  2. 仏暦2568年告示と仏暦2569年の2つの省令のタイ語原文を、官報からダウンロードする。 ブログではなく、法令そのものと照らし合わせて情報を確認できます。
  3. 自分の農場や店舗を、省令2の義務と1項目ずつ照らし合わせる。 検査や更新の前に、直すべき点が分かります。
  4. オンラインのアカウントに花穂の販売や広告の投稿がないかを確認し、あれば削除する。 店舗が処分を受けるよくある原因を取り除けます。
  5. スタッフ名簿を作り、医療スタッフやタイ伝統医療のスタッフも含めて、各人の役割と資格を記載する。 適切な専門職が勤務していることを、検査官に示せます。

ライセンスの状況や農場の体制が一般的なケースと違う場合は、このトピックの下に質問を投稿してください。ほかの栽培者やライセンス保有者が、自分の更新や検査の経験を共有してくれます。

参考文献