2026年9月から2027年末までの期間に、ヘンプやCBDの見本市の開催が確認できたのは、タイを除くアジアでは日本だけです。その見本市はJapan International Hemp Expoで、2026年11月13日~14日に東京で開かれます。この後編では、まず日本のTHC基準値と輸入手続きを説明します。製品サンプルを持ち込めるかどうかは、この2つで決まります。次に、アジアのほかの国・地域でイベントが開かれていない理由を説明します。最後に、原料のバイヤーとサプライヤーが出会える、大麻以外の見本市を3つ紹介します。
この日程表は、2026年9月中旬に各主催者の公式サイトを確認して作成しました。日程や会場は変わることがあります。何かを予約する前に、必ず主催者のサイトをもう一度確認してください。
本記事は後編です。前編:https://asiannabis.com/t/1329
日本:イベントは1つ、持ち込めるものはルールで決まる
Japan International Hemp Expoの会場は、東京・表参道にある建物、House of OMOTESANDOです。11月13日は商談日(ビジネスデー)、11月14日は一般公開日です。2027年の開催は発表されていません。輸出を考える方にとっては、見本市そのものより日本のルールのほうが重要です。実際に何を日本へ持ち込めるかは、このルールで決まるからです。
2023年の法改正で何が変わったか
日本の改正大麻取締法(令和5年〔2023年〕法律第84号)は、2023年12月13日に公布されました。施行は2段階で、2024年12月12日と2025年3月1日です。主な変更点は次の3つです。
- 大麻から作られた医薬品が使えるようになりました。
- 大麻の使用が犯罪になりました。改正前は、使用そのものは処罰の対象外でした。
- 以前は、植物のどの部位から作られたかで製品を規制していました。改正後は、THCをどれだけ含むかで規制します。栽培に関する規定は、別の法律に移されました。
製品の形態ごとの日本のTHC基準値
下の表は、現在適用されているΔ9-THCの残留限度値です。Δ9-THC(デルタ9-テトラヒドロカンナビノール)は、大麻に含まれる主な酩酊成分です。ppmは「百万分の一」を表す単位で、1 ppmは1 kgあたり1 mgにあたります。
| 製品の形態 | 基準値 | 同じ基準値をパーセントで表すと |
|---|---|---|
| 油脂・粉末 | 10 ppm | 0.001% |
| 水溶液 | 0.10 ppm | 0.00001% |
| その他すべての製品 | 1 ppm | 0.0001% |
基準値を超える製品は、日本では麻薬として扱われます。
訳者注:タイでは、大麻やヘンプの抽出物を区分する線はTHC 0.2%で、これは2,000 ppmにあたります。この線をわずかに下回る抽出物でも、日本がオイルに認めるTHC量のおよそ200倍を含んでいます。タイでヘンプ抽出物として合法な製品が、日本でもそのまま合法になるわけではありません。検査機関にTHCをppm単位で報告してもらい、その数値を自社製品の形態に対応する日本の基準値と比べてください。日本への出荷が現実的かどうかを判断するには、これがいちばん早い方法です。
輸入前の確認の流れ
厚生労働省の地方厚生局麻薬取締部は、CBD製品の輸入について事前確認の手続きを設けています。輸入する前に書類を提出し、書面で回答を受け取る仕組みです。この手続きは制度上は任意ですが、実際には欠かせません。
分析証明書には、公式ガイダンスが定める7つの項目を記載する必要があります。たとえば次の項目です。
- 製品形態の区分。どのTHC基準値が適用されるかは、これで決まります。
- 分析方法。
- 検査機関の責任者、または分析者の署名と役職。
- 検出限界。検査機関が検出できる最小の量のことです。
公式ガイダンスには、決まった処理期間が書かれていません。分析証明書に不備があれば再提出が必要になり、回答も遅れます。ガイダンスは、もう1つの点もはっきり示しています。税関の現物検査で規制物質が見つかった場合、事前確認で問題ないとする回答書を得ていても、それで責任を免れることはありません。
日本で出展するなら、これが何を意味するか
ここまでのルールをまとめると、製品サンプルを持ち込むには2つのものが必要です。基準を満たす分析証明書と、事実上必須となる事前確認です。事前確認にかかる時間は、別の作業ではなく見本市の準備の一部として計画に入れてください。2026年11月13日~14日のExpoについては、今から手続きを始めても時間はほとんど残っていません。今後日本の見本市に参加する場合の手順は次のとおりです。
- 見本市の日程より十分早く事前確認を始め、現在の処理期間を麻薬取締部にメールで問い合わせてください。そうすれば、渡航前に確認を終える時間を確保できます。
- 検査機関の定量下限が、自社製品の形態に対応する日本の基準値より低いかどうかを確認してください。低くなければ、報告書で製品が基準値以下だと示すことができません。何を確認すればよいかは、フォーラムのタイの検査機関のガイドで説明しています。
- 書面の回答を受け取るまでは、製品を一切持ち込まないでください。回答を得た後も、製品が実際に基準値を満たしている必要があります。税関が検査する可能性は残るからです。
訳者注:サンプルが日本に届く前の段階で、まずタイのルールが適用されます。タイでは大麻の花穂は規制ハーブです。規制ハーブを許可なく輸出することは、タイ伝統医療知識保護振興法 仏暦2542年の第46条に違反します。罰則は第78条に定められており、1年以下の懲役か2万バーツ以下の罰金、またはその両方です。THCが0.2%を超える抽出物については、2026年4月26日から大麻又はヘンプ抽出物に関する省令 仏暦2569年が適用されています。この省令で許可を受けられるのは、外国人事業法 仏暦2542年でいう「外国人」に当たらないタイの法人、国の機関、そしてタイ赤十字社に限られます。ヘンプ由来のCBD製品の場合は、サンプルをタイから持ち出す前に、どのタイの許可が必要かを確認してください。荷造りの前に、ヘンプとして合法的にタイから輸出できるものを読んでください。
アジアのその他の国・地域:17か所を調べてもイベントはなし
大麻、ヘンプ、CBD、クラトムに特化したイベントを、次の17の国・地域で調べました。韓国、中国、香港、台湾、マレーシア、シンガポール、フィリピン、インドネシア、ベトナム、ラオス、カンボジア、ミャンマー、インド、スリランカ、ネパール、イスラエル、湾岸諸国です。この期間に開催が確認できたイベントは、どこにもありませんでした。
この地域で知られていたイベントの中にも、すでに開かれていないものがあります。
- イスラエル・テルアビブの大麻会議CannXは、今も2022年の回を「次回」として掲載しています。
- 大麻技術の国際会議CannaTechのウェブアドレスは、現在は無関係のサイトに転送されます。
- India Hemp Expoの最後の開催は、2024年2月のベンガルールでした。公式サイトのセキュリティ証明書は期限が切れており、管理されていないことがうかがえます。
- 香港では、2023年2月1日にCBDが危険薬物に指定され、CBD業界は完全に姿を消しました。
イベントがない理由:法律
イベントがない理由の大部分は、法律の状況で説明がつきます。
- シンガポールは、一定量を超える密売に対して死刑を必ず科す制度を維持しており、CBDも禁止しています。
- インドネシアとマレーシアも、密売の罪に死刑を残しています。
- フィリピンでは、2024年7月に下院が医療用大麻法案を可決しました。上院では可決されていないため、まだ法律にはなっていません。
- 韓国では、CBD医薬品は許可を受けた輸入品としてのみ認められています。安東(アンドン)には産業用ヘンプの規制サンドボックスがあります。規制サンドボックスとは、緩めたルールのもとで企業が事業を試せるよう政府が設けた区域のことです。ただし、これは限定的な試行であり、自由な市場ではありません。
- 中国では、産業用ヘンプの栽培が認められているのは雲南省と黒竜江省だけです。化粧品と食品へのCBD使用は禁止されています。
- インドでは、州の許可のもとで産業用ヘンプが認められていますが、大麻の花穂と樹脂は引き続き禁止されています。
- アラブ首長国連邦は、2025年12月にヘンプに関する法律を公布しました。THC 0.3%以下であれば、産業用途と許可を受けた医薬用途が認められます。個人での使用と、ほとんどの消費者向け製品は禁止されています。新しい市場ですが、それを対象にした展示会はまだありません。
訳者注:香港とシンガポールは、タイ発の空路でよく使われる乗り継ぎ空港です。上で述べた禁止規定があるため、CBDサンプルをこの2か所経由で運ぶ計画は立てないでください。許可を受けた貨物については、フォーラムの経由国と貿易書類のガイドを読んでください。上の一覧にある国・地域では、主催者が日付の入ったイベントを発表するまで、大麻イベント向けの渡航費を予算に組み込まないでください。
大麻イベントではなく、バイヤーに会いたい場合
アジアの原料バイヤーに会うことが目的なら、タイと日本以外で開かれる次の3つの見本市のほうが、前編で紹介したどのイベントよりも役に立ちます。どれも大麻の見本市ではありません。
- Vitafoods India、2027年2月9日~11日、ムンバイ。 栄養・健康素材の見本市です。主催者は、出展者220社以上、来場者1万人以上を見込んでいます。プライベートブランド(メーカーが製造し、買い手のブランドで販売する製品)と受託製造(他社の注文に応じて製品を製造すること)の分野も含まれます。
- DUPHAT、2027年3月30日~4月1日、ドバイ。 医薬品の会議と展示会です。主催者のサイトによると、来場者・参加者は2万5,000人、出展ブランド・企業は1,100社です。アラブ首長国連邦で新しいヘンプ法の運用が始まりつつある時期に開かれます。
- CPHI and PMEC India、2026年11月23日~26日、デリーおよびグレーター・ノイダ。 医薬品原料と製造機械を扱う見本市です。出展者カタログには天然抽出物も含まれています。
Vitafoods Asiaもタイを離れました。2027年の回は、2027年9月21日~23日にバンコクではなくクアラルンプールのMITEC(マレーシア国際貿易展示センター)で開かれます。
訳者注:これらの見本市を予約する前に、自社製品をタイから販売できるかどうかを確認してください。上の日本の章で説明したとおり、THC 0.2%を超える抽出物の許可は限られています。詳しくは、フォーラムのタイの2026年の2つの省令のガイドをご覧ください。製品ごとに仕様書と最新の分析証明書を用意してください。そうすれば、バイヤーは現物サンプルがなくても製品を評価できます。また、現地の法律のもとでヘンプやCBDの出展者を受け入れているかどうかを、主催者に確認してください。たとえばアラブ首長国連邦では、消費者向けの用途のほとんどが禁止されています。
主催者発表の数字と、まだ確認できていないこと
前編・後編に出てくる出展者数と来場者数は、すべて主催者の発表です。第三者が監査した数字は1つもありません。見本市の来場者数は、純粋な計測値というより、宣伝の要素も含んだ数字です。
この日程表のイベントは、どれもブースの料金を公開していません。どの主催者も問い合わせを受けてから見積もりを出す形です。料金が公開されていないこと自体が、今回の調査でわかった点の1つです。ヨーロッパの展示会は事情が違います。ドイツ・エッセンの園芸見本市IPM Essenは、1平方メートルあたりの料金を公開しています。ドイツの見本市の概要は、フォーラムのドイツの見本市のガイドをご覧ください。
いくつかの点は、まだ確認できていません。健康関連製品の見本市Health and Wellness Japanは、2025年にCBDコーナーを設けました。2026年と2027年の回もこのコーナーを続けるかどうかは、確認できていません。タイについて未確認の点は前編に載せています。Chiang Mai Cannabis Cup 2026の日程、地方の見本市、そしてBio Asia PacificとProPak Asiaの2027年の日程です。
見本市に費用を払う前に、前回の出展者リストとブース料金の見積書を書面で主催者に依頼してください。渡航にかかる総費用を、見込まれる有益な商談の数で割ってください。そうすれば、見本市どうしを1つの数字で比べられます。
情報の出典
日程、会場、来場者数・出展者数は、すべて2026年9月中旬に確認した各主催者の公式サイトによるものです。イベント情報をまとめたサイトの掲載内容は使っていません。日本とその他の国の法律の概要は、同じ調査資料に基づいています。日本の手続きの説明は、CBD輸入の事前確認手続きに関する公式ガイダンスに基づいています。
日本のルールやタイ以外の見本市について質問があれば、このトピックの下に書き込んでください。これらの見本市に参加した経験は、イベント・カンファレンスのセクションに投稿することもできます。