ドイツでは、大麻や薬用植物に関わる見本市がヨーロッパで最も多く開かれています。ただし、植物原料そのものを買うバイヤーに会える見本市はほとんどありません。この後編では、2026年9月から2027年11月までの全日程を紹介します。近隣国のイベントもいくつか含めています。ネット上に名前は出ていても、実際には存在しないイベントも挙げます。さらに、出展者リストから本当の取引相手を探す方法と、確認できなかった点も示します。対象は、タイ、ベトナム、ラオスとその周辺地域の栽培者と輸出業者です。
このうち、供給契約を結ぶ担当者と直接会えるイベントは、IPM ESSEN、CPHI Frankfurt、ICBC Berlin、Bernburger Winterseminarの4つだけです。GACPの認証があるだけでは、ドイツでフラワー(大麻の花)を販売できません。GACP(Good Agricultural and Collection Practices:適正農業・採取規範)は、薬用植物の栽培と収穫について農場が守るべきルールです。これに加えて、EU-GMP基準の施設でバッチごとの出荷判定(バッチリリース)を受ける必要があります。EU-GMP基準の施設とは、医薬品製造に関するEUの規則に基づいて許可を受けた施設です。さらに、輸入業者もドイツのライセンスを持っていなければなりません。この3つの要件は前編で説明しています。
本記事は後編です。前編:https://asiannabis.com/t/1328
全日程:2026年9月~2027年11月
日程と会場は、各主催者の公式サイトの情報です。例外は、表の最後の列に別の記載がある行です。「第三者情報のみ」は公式の情報源が見つからなかったという意味なので、その行は未確認として扱ってください。
| 日程 | イベント | 都市 | 会える相手 | 情報源 |
|---|---|---|---|---|
| 2026年9月15~17日 | expopharm | ミュンヘン | ドイツの薬局とその仕入れ先 | 主催者 |
| 2026年9月15~17日 | CB Expo(InterTabac内) | ドルトムント | 企業バイヤー(企業間取引)、CBD業界 | 主催者 |
| 2026年9月25~27日 | CannaFriends | イルゼーデ | 小規模・地域向け | 主催者 |
| 2026年10月2~4日 | Cultiva HANFEXPO(オーストリア) | ウィーン | ドイツ語圏の栽培用品店業界 | 主催者 |
| 2026年10月6~8日 | CPHI(イタリア) | ミラノ | EUの医薬品原料 | 主催者 |
| 2026年10月23~24日 | Hemp Building Symposium | シュトゥットガルト | ヘンプ建材 | 第三者情報のみ |
| 2026年11月6~8日 | Cannafest(チェコ) | プラハ | 中欧の業界関係者と一般来場者 | 主催者 |
| 2026年11月16~19日 | MEDICA・COMPAMED | デュッセルドルフ | 医療機器。栽培者には関係なし | 主催者 |
| 2026年11月17~19日 | Fi Europe・Hi Europe | フランクフルト | 植物抽出物、ニュートラシューティカル | 主催者 |
| 2027年1月26~29日 | IPM ESSEN | エッセン | 栽培資材と設備 | 主催者 |
| 2027年2月16~19日 | BIOFACH・VIVANESS | ニュルンベルク | 有機認証品のみ | 主催者 |
| 2027年2月23~24日 | Bernburger Winterseminar | ベルンブルク(ザーレ) | 薬用植物のGACP専門家 | 主催者 |
| 2027年3月12~14日 | Spannabis(スペイン) | ビルバオ(バルセロナから移転) | 品種(ジェネティクス)と肥料 | 主催者 |
| 2027年3月20~22日 | CNBS Expo | ドルトムント | 不明 | 第三者情報のみ |
| 2027年4月13~15日 | ICBC Berlin | ベルリン | 大麻ビジネス(栽培側・医薬品側の両方) | 主催者 |
| 2027年4月30日~5月2日 | KONOPEX(チェコ) | オストラヴァ | 小規模 | 第三者情報のみ |
| 2027年5月 | INTERPHARM | シュトゥットガルト | 大麻の最新情報を扱うセッションがある学術会議 | 主催者。正確な日程は未発表 |
| 2027年5月18~20日 | Vitafoods Europe(スペイン) | バルセロナ | ニュートラシューティカル | 主催者 |
| 2027年6月3~6日 | Mary Jane Berlin | ベルリン | 主に一般消費者。業者向けの日は6月3日 | 主催者 |
| 2027年6月14~18日 | ACHEMA | フランクフルト | 抽出・GMP・ラボ用の機器 | 主催者 |
| 2027年7月16~18日 | CannaFestival | カールスルーエ | 規模が小さく、渡航するほどの価値はない | 主催者 |
| 2027年8月20~22日 | Cannafair | デュッセルドルフ(Areal Böhler) | 主に一般消費者 | 主催者 |
| 2027年9月 | expopharm 2027 | デュッセルドルフ | 薬局業界。日程は未発表 | 主催者 |
| 2027年9月21~23日 | FACHPACK | ニュルンベルク | 医薬品グレードの包装 | 主催者 |
| 2027年11月9~11日 | CPHI Frankfurt | フランクフルト | EU-GMP基準の原料を買うバイヤー | 主催者 |
表の用語の説明:
- 栽培用品店業界: 栽培用品を販売する店と、その店に商品を卸す企業のことです。
- ニュートラシューティカル: 健康効果をうたって販売されるサプリメントや食品原料のことです。
- 有機認証品のみ: BIOFACHには、有機認証を受けた製品しか出展できません。
- GMP: Good Manufacturing Practice(適正製造規範)の略で、医薬品を製造するときのルールです。EU-GMP基準はそのEU版です。
訳者注:この記事を読んでいる日より前の日付のイベントは、すでに終了しています。それらの行は次回開催の目安にして、新しい日程を主催者のサイトで確認してください。アジアの見本市については、アジアのイベント日程をご覧ください。
前編の「4つのイベントの選び方」を参考に、自分が販売するものに合うイベントを2つまで選んでください。それぞれの開催の約2か月前に、主催者のサイトで日程をもう一度確認しましょう。この日程表を作った時点では、2027年の日程のうちいくつかがまだ決まっていなかったためです。
実在しないイベント名
以下の名前は、検索結果やイベント情報サイト、人づてのアドバイスに出てきます。どれも、その名前の権利を持つ企業のウェブサイトで確認しました。
- Cannabis Europa: ドイツで開催されたことは一度もありません。開催地はロンドンとパリだけです。
- CannaCon: 米国のイベントで、ドイツでの開催はありません。
- ドイツの「International Cannabis Expo」: このようなイベントは存在しません。ICBCと混同された名前である可能性が高いです。
- Expo Cannabis: 中南米のイベントブランドで、ドイツでの開催はありません。
- 「Mary Jane Netherlands」: 存在しません。Mary Janeはベルリンでしか開催されていません。
- 「Hanfmesse」: ドイツ語で「ヘンプの見本市」を意味する普通の言葉で、特定のイベントの名前ではありません。
- LABVOLUTION(ハノーファー): 2025年の開催は中止され、その後の開催も発表されていません。
- CannaTrade(チューリッヒ): 2年に1度の開催です。2026年5月の回はすでに終わり、2027年の開催はありません。
- analytica(ミュンヘン): 次回は2028年4月25~28日で、この日程表の対象期間より後です。
- interpack(デュッセルドルフ): 次回は2029年6月10~15日で、こちらも対象期間より後です。
代理業者や知人からこれらの名前を勧められたら、お金を払う前に、主催者の公式サイトを教えてもらってください。
見本市ではありませんが、注目しておきたいイベントが1つあります。ベルリンのMedicinal Cannabis Congressです。2026年5月28~29日に、ベルリンの大学病院Charitéで第7回が開かれました。第8回の開催はまだ発表されていません。この会議では大麻を処方する医師に会えますが、この一覧の見本市ではどれも医師には会えません。ドイツの医師が何をなぜ処方しているのかを知りたいなら、第8回の発表を見逃さないようにしてください。
出展者リストから取引相手を探す:expopharmの例
このセクションは、見本市のオンライン出展者名簿で取引相手を探す人向けです。expopharmは、ドイツの薬局業界の見本市です。2026年の名簿には551件が登録されています。
名簿を製品グループ「01.19 Cannabis」で絞り込むと、23社が出てきます。トピックタグ「Medizinal Cannabis」(医療用大麻)で絞り込むと15社です。2つのフィルターを合わせると26社になります。ところが、ドイツ最大級の医療用大麻の輸入業者・卸売業者のうち何社かは、551件の中にいるのに、どちらのフィルターにも出てきません。
原因は、タグを各出展者が自分で選んでいて、主催者が統一していないことです。そのため、すぐ思いつくキーワードで検索すると、別の言葉で自社を説明している企業を見落とすことがよくあります。
この仕組みは、うまく使えば逆に役立ちます。特にアプローチする価値のある企業は、「Betäubungsmittel」(麻薬類の取り扱い)と「Heilpflanzen」(薬用植物)の2つのタグを一緒に付けていることが多いのです。この2つの組み合わせからは、その企業が大麻に商売上の関心を持っているだけでなく、規制物質を扱う許可を受けた施設を持っている可能性がうかがえます。expopharm 2026では、関連するタグを3つか4つ付けていた企業が4社ありました。その4社とも、社名に「cannabis」は入っていません。
ただし、タグは手がかりにすぎず、証拠にはなりません。その企業が§4 MedCanGライセンスを持っているかどうかは、直接確認する必要があります。§4 MedCanGライセンスとは、医療用大麻の輸入業者に必要なドイツの事業ライセンスです。発行するのは連邦アヘン局(Federal Opium Agency)で、ドイツ連邦医薬品医療機器研究所(BfArM)の一部門です。
名簿は次の順番で使ってください。
- 大麻のフィルターだけでなく、出展者リスト全体を開きます。大麻のフィルターでは、別のタグを付けた企業が抜け落ちてしまうからです。
- 「Betäubungsmittel」と「Heilpflanzen」でそれぞれ絞り込み、両方に出てくる企業を書き留めます。許可を受けて規制物質を扱っている可能性が最も高いのは、これらの企業です。
- 各企業の公式サイトを読み、実際に何を輸入・加工しているかを確認します。
- 見本市の前に、各社にメールを送ります。§4 MedCanGライセンスを見せてもらい、出荷ごとの輸入許可をどのように取っているかを尋ねてください。回答がはっきりしていれば、その企業があなたの製品を合法的に受け入れられるかどうかが分かります。
訳者注:この例の名簿のタグはドイツ語です。企業のページは翻訳ツールで読んでも構いません。ただし、検索はドイツ語のタグで行ってください。英語の検索語では、出展者が付けたタグと一致しないことがあるためです。
確認できなかった点
確認できていない点を前提に計画を立てる人が出ないよう、ここにまとめておきます。
- デュッセルドルフで開かれるexpopharmと、INTERPHARMの2027年の正確な日程は、まだ発表されていません。
- CNBS Expo Dortmund 2027とCB Expo 2027については、公式の情報源がまったくありません。
- CPHI FrankfurtとICBC Berlinのブース料金は、個別の見積もりでしか提示されておらず、今回は見積もりを取れませんでした。
- 1バッチについてEU-GMP基準の出荷判定を受けるときの一般的な費用や所要期間は、信頼できる公表データが見つかりませんでした。料金は施設ごとに交渉で決まります。「標準価格」を提示されたら、その価格に何が含まれていないかを確認してください。
- いくつかのイベントは、会場面積が公式の情報源で見つかりませんでした。CPHI、ACHEMA、MEDICA、Cannafair、Cultivaの創設年も見つかりませんでした。
前編・後編に出てくる来場者数と出展者数は、すべて主催者が発表した数字です。監査を受けたと書かれていない限り、第三者は確認していません。見本市の主催者は、イベントの宣伝も兼ねて来場者数を公表しています。そのため、これらの数字は推定値として扱ってください。
お金を出すと決める前に、検討しているブースの見積もりを書面でもらってください。また、少なくとも2か所のEU-GMP基準の施設に、バッチ出荷判定の見積もりを依頼しましょう。その際、料金に何が含まれるかを正確に書いてもらいます。見積もりを項目ごとに比べれば、1バッチあたりの本当のコストが分かります。バイヤーと価格を決める前に、必ずこのコストを把握しておいてください。
この日程表にあるイベントに出展・来場したことがある方は、このトピックの下に気づいたことを投稿してください。地域のほかの栽培者が、あなたの経験を自分の渡航計画に役立てられます。