チェコ、2026年1月1日から成人に自宅での大麻3株の栽培と100 gの保管を容認:変わったこと、変わらなかったこと、タイのルールとの違い

この記事では、2026年1月1日に施行されたチェコの薬物法の改正を紹介します。もとになったのは、チェコで薬物政策の改革を訴える活動家たちの投稿です。元の投稿は法律が確定する前に書かれました。本稿では施行までの経過を最新の状態に更新し、タイと東南アジアの栽培者向けの注記を加えています。

要点

  • チェコでは、21歳を超える成人は許可なく大麻を所持できます。上限は自宅で100 g、自宅以外で25 gです。さらに3株まで栽培できます。いずれも個人使用に限られます。
  • 上限を超えた量は引き続き処罰の対象です。超過がわずかなら行政違反、大きければ犯罪になります。
  • いわゆる「マジックマッシュルーム」の有効成分であるシロシビンは、精神科施設での治療に使えるようになりました。
  • 活動家が求めていた他の改革の多くは実現しませんでした。
  • タイにはこれらは一切適用されません。タイの大麻法はまったく異なる仕組みです。後述の訳者注をご覧ください。

法律が成立するまで

チェコ議会の下院にあたるのが代議院(Chamber of Deputies)です。改正案はまず代議院で承認されました。その後、上院と大統領の承認も必要でした。どちらの承認も得られ、改正は法律第270/2025号 Coll. として成立しました(「Coll.」はチェコの公式の法令集を指します)。この法律は2026年1月1日に施行されました。

活動家たちは、今回の改正を「正しい方向への小さな一歩」と評価しました。あわせて、改正を後押ししたすべての人に感謝を述べています。

成人が所持・栽培できる量

個人使用の上限は、法律第167/1998号 Coll. の第5条第12項・第13項に定められています。これは依存性物質に関するチェコの法律です。下の表は、量に応じた3段階の扱いをまとめたものです。

状況 この量まで:許可不要で認められる(21歳超) 上限超過:行政違反 この量を超える場合:刑事犯罪
自宅で保管する大麻 100 g 100 g超〜200 g以下 200 g超
自宅以外で持ち歩く大麻 25 g 25 g超〜50 g以下 50 g超
栽培する株数 3株まで 4〜5株 5株超

行政違反は犯罪ではなく、軽微な違反として扱われます。刑事犯罪となる基準量は、チェコ刑法第285条に基づきます。

21歳以下の人にはより厳しいルールが適用されます。刑事犯罪の基準量を下回る量であれば、ごく少量でも所持は行政違反になります。つまり「許可不要」の列が当てはまるのは21歳を超える人だけです。

法律がこの扱いを認めているのは21歳を超える人です。条文には国籍や居住地についての記載はありません。100 gの上限は本人の自宅に適用されます。ホテルや賃貸の部屋に滞在する訪問者にこの上限がどう適用されるかは、本稿では確認できませんでした。

チェコに友人や顧客がいる場合は、行動する前にチェコの公式の法令本文を確認するよう伝えてください。フォーラムの要約は法令本文の代わりにはなりません。

大麻関連の違反に対する処罰の軽減

元の投稿によると、大麻に関わる行為は重大な犯罪ではなく、「減軽類型」の犯罪として扱われるようになりました。チェコ刑法でいう「減軽類型」とは、通常より軽い法定刑が定められた、犯罪の軽い類型のことです。今回の改正法により、大麻の製造と取引について独立した犯罪類型(刑法第283a条)が新設されました。基本の刑は1年以下の拘禁刑です。一般的な薬物犯罪(第283条)は1年以上5年以下です。上限を超える個人使用目的の大麻の栽培や所持は、第285条の対象となります。結果として、大麻関連の違反の刑事責任は、他の薬物犯罪より軽くなりました。

治療目的のシロシビン

シロシビンは、いわゆるマジックマッシュルームに含まれる有効成分です。同じ改正法により、シロシビンを治療に使うことが認められました。条件は次の3つです。

  • 精神科施設で治療を行うこと
  • 医師の管理のもとで投与すること
  • 患者が18歳を超えていること

活動家たちは、これをメンタルヘルス医療にとって重要な一歩と捉えています。対象は医療としての治療だけです。個人での使用は認められていません。

改正で変わらなかったこと

活動家たちは、実現しなかった4つの要望を挙げています。

  1. 薬物犯罪の刑罰は据え置き。 大麻に関する変更以外では、薬物犯罪の刑の範囲は引き下げられませんでした。活動家たちは、これらの刑罰は重すぎると考えています。
  2. 2つの依存症支援サービスは違法のまま。 安全な薬物使用施設と、フェスティバル会場での薬物検査です。安全な薬物使用施設とは、訓練を受けたスタッフが見守るなかで、利用者が自分の薬物を使う場所です。フェスティバルでの薬物検査では、物質に実際に何が含まれているかを調べます。利用者は自分が何を摂取しようとしているのかを知ることができます。
  3. 古くからある「薬物嗜癖の拡散」罪は存続。 チェコ語では「šíření toxikomanie」といい、刑法第287条に定められています。おおまかには、薬物の使用を宣伝したり勧めたりすることを指します。活動家たちは、この規定が薬物教育やハームリダクションの妨げになっていると主張しています。ハームリダクションとは、すでに薬物を使っている人に、まずやめることを求めずに、被害を減らすためのサービスを提供する考え方です。
  4. 規制下での合法販売のパイロット事業は阻止。 合法で規制された大麻市場を試す研究目的の試行事業になるはずでした。活動家たちは、成功例としてドイツ、スイス、オランダを挙げています。

活動家たちは、新しい法律を「最初の一歩」にすぎないとしています。薬物政策の古いやり方を見直す、より広く体系的な変革を求めています。

元の投稿の画像
画像:元の投稿より。

訳者注:タイとの比較

チェコでは、成人に一定量までの個人所持・栽培が認められるようになりました。タイの大麻ルールはそのような仕組みではありません。

  • タイでは大麻の花穂は規制ハーブです。 根拠は保健省告示「規制ハーブ(大麻)」仏暦2568年です。この告示はタイ伝統医療知識保護振興法 仏暦2542年に基づいて出され、2025年6月26日に施行されました。
  • 花穂は処方箋がある場合にのみ販売できます。 処方箋はPT 33(ภ.ท.33)で、期間は最長30日分です。
  • 花穂の広告とオンライン販売は禁止されています。
  • 2026年に許可の基準が厳しくなりました。 規制ハーブに関する省令(第2号)仏暦2569年が2026年4月30日に施行されました。この省令で大麻の花穂に関する許可基準が厳しくなっています。これとは別に、大麻又はヘンプ抽出物に関する省令 仏暦2569年が2026年4月26日に施行されました。この省令により、THC 0.2%を超える抽出物の許可を受けられるのは次の3者だけになりました。外国人事業法 仏暦2542年でいう「外国人」に当たらないタイの法人、国の機関、タイ赤十字社です。
  • 罰則。 1999年制定の同法(仏暦2542年)第78条では、1年以下の拘禁刑、2万バーツ以下の罰金、またはその両方が科されます。
  • 新しい法律はまだ施行されていません。 内閣は2026年9月22日に大麻管理法案(Cannabis Control Act)を承認し、下院に送付しました。法案が成立するまでは、上記のルールが引き続き適用されます。

チェコの100 g/25 g/3株のような個人の所持量や自家栽培の許容量がタイにあるかどうかは、本稿では確認していません。そうした許容量があると考えないでください。

タイでのシロシビンやマジックマッシュルームの扱いは、本稿では扱っていません。チェコの治療に関するルールがタイにも当てはまると考えないでください。

チェコで自家栽培が認められていても、タイで認められる範囲には何の影響もありません。タイで花穂を栽培・販売したり、花穂について投稿したりする前に、ご自身の許可条件を上記のルールと照らし合わせて確認してください。

訳者注:旅行と国境

各国の許容範囲が適用されるのは、その国の中だけです。チェコやタイで合法的に所持できる大麻でも、隣の国に入れば重大な犯罪になることがあります。アジア各国のルールは大きく異なります。アジア各国の大麻法とタイを訪れる旅行者向けのルールをご覧ください。

  • 両国の輸出・輸入の書類を持っていない限り、大麻、種子、抽出物を持って国境を越えないでください。
  • 旅行の前に、目的地と経由するすべての国の法律を確認してください。

今すぐできること

  1. チェコへ渡航する前に、ご自身の年齢区分に当てはまる上限量を、公式の法令で確認しておきましょう。どこまでが行政違反で、どこからが刑事犯罪になるのかがわかります。
  2. タイでの許可やPT 33の記録を常に最新の状態にしておきましょう。タイの法律のもとであなたを守るのはこれらの書類であり、外国の許容範囲ではありません。
  3. チェコのモデルをタイや他の東南アジア諸国のルールと比べて疑問があれば、このトピックの下に投稿してください。

参考資料

  • 法律第270/2025号 Coll.(チェコ共和国)、2026年1月1日施行
  • 依存性物質に関する法律第167/1998号 Coll.(チェコ共和国)、第5条第12項・第13項
  • チェコ共和国刑法、第285条
  • タイの資料:保健省告示「規制ハーブ(大麻)」仏暦2568年、大麻又はヘンプ抽出物に関する省令 仏暦2569年、規制ハーブに関する省令(第2号)仏暦2569年、タイ伝統医療知識保護振興法 仏暦2542年 第78条