この記事では、よく知られた9つの肥料ブランドが、自社のやり方をどう説明しているかをまとめています。どのブランドも、農場と家庭栽培者の両方に販売しています。各説明は、ブランド自身の宣伝文をもとにしています。第三者による試験結果ではありません。掲載順もランキングではありません。
このリストからわかるのは、各ブランドが何を約束しているかです。約束を一つずつ質問に置き換えれば、ご自身で確かめられます。使うのはメーター、計算機、または小さな試験バッチです。以下の各ブランドの項目の最後に、その確認方法を載せています。
ブランドを比べる前に
訳者注:まず、ご自身の栽培について3つの点を書き出してください。1つ目は培地です。土、ココヤシ繊維、水耕栽培(根を水や不活性培地に置き、養液で育てる方法)のどれかです。2つ目は規模です。自宅で数株なのか、許可を受けた農場なのかを書きます。3つ目は、一年で最も暑い月の栽培室の温度と湿度です。ブランドの主張の多くは、特定の培地や規模にしか当てはまりません。ご自身の条件がわかれば、各説明のどの部分が自分に関係するかを判断できます。
訳者注:タイでは、肥料は仏暦2518年(1975年)肥料法の対象です。同法は仏暦2550年(2007年)肥料法(第2号)で改正されています。輸入品を買う前に、販売者にタイでの登録番号を尋ねてください。同法第35条では、輸入業者は輸入の前に肥料を登録しなければなりません。登録先は農業局(กรมวิชาการเกษตร)の担当官で、登録証を受け取ってから輸入します。例外は、標準化学肥料と、大臣が適用を除外した種類です。ラベルの読み方は、フォーラムのトピックタイで肥料が合法であることを確認するで解説しています。この確認をすれば、未登録の製品を栽培室に持ち込まずに済みます。
訳者注:購入はブランドのタイ正規代理店から行ってください。ブランドの公式サイトには、たいてい国別の代理店一覧が載っています。非正規の販売者の在庫は、古かったり、暑い倉庫に置かれていたりすることがあります。しかも、それはボトルを見てもわかりません。代理店が見つからない場合は、肥料全般(General Nutrients)のセクションでほかの栽培者に聞いてみてください。
9つのブランド
1. Grotek
ブランドの説明: Grotekは、科学と実際の栽培を組み合わせた新しい肥料製品に力を入れているとしています。有機栽培と水耕栽培の両方に対応しているといいます。配合は精密で効果的だと説明しています。
訳者注:Grotekはカナダの企業です。製品群が有機栽培と水耕栽培の両方にまたがっているため、すべての製品がご自身のシステムに合うわけではありません。購入前に、ご自身の培地用の施肥チャートを探してください。スケジュールはフォーラムのGrotek肥料ガイドに載っています。チャートを見れば必要な製品がわかるので、使わないボトルを買わずに済みます。
2. House & Garden
ブランドの説明: House & Gardenは、自社の肥料をプレミアムグレードと位置づけています。収量を高めるための先進的な配合だと説明しています。同社の言葉では、その収量は「卓越した(superior)」ものです。科学的な知識と実際の栽培経験を組み合わせた配合だとしています。
訳者注:House & Gardenはオランダの企業です。ラベルの記載だけでは、ご自身の栽培室で本当に収量が上がるかどうかは証明できません。確かめるには、株を並べて比べる試験を行います(下記「小さなバッチでブランドを試す」を参照)。この試験で、高い価格がご自身の条件で見合うかどうかがわかります。製品ラインについては、フォーラムのトピックHouse & Garden:各製品の実際の役割で解説しています。
3. CANNA
ブランドの説明: CANNAは、自社製品が持続可能な研究開発から生まれたとしています。土、ココヤシ繊維、水耕栽培といった栽培方式ごとに、肥料と培地(根が張る栽培用の土台)を作っています。環境に優しく、それでいて最高の性能を発揮すると述べています。
訳者注:CANNAはオランダの企業です。フォーラムのCANNA肥料ガイドでは、土用、ココヤシ繊維用、水耕用の3つのライン(Terra、Coco、Aqua)を紹介しています。各ラインは、その培地が水と養分をどう保つかに合わせて作られています。ご自身の培地に合ったラインを使ってください。そうすれば、製品と培地が合わないせいで、見せかけの「欠乏症」が出ることを防げます。説明には、「環境に優しい」が実際に何を指すのかは書かれていません。気になる場合は、包装、原料、工場のどれを指すのかを代理店に尋ねてください。
4. BioBizz
ブランドの説明: BioBizzは、合成化学物質を使わない100%オーガニック肥料の先駆者を名乗っています。スローガンは「Grow the natural way(自然なやり方で育てよう)」です。土壌の生物的なバランスを保ち、環境を守る製品だとしています。
訳者注:BioBizzは1992年にオランダで創業し、現在はスペインに本社があります。「100%オーガニック」は確かめられる主張です。各製品がどの有機認証を受けているか、どの機関が発行したかを代理店に尋ねてください。このラインが水耕栽培ではなく土耕向けに作られている理由は、フォーラムのトピックBioBizz:土耕向けオーガニックラインで解説しています。30〜35 °Cになるタイの暑さの中では、ボトルを日陰に置き、キャップをしっかり閉めて保管してください。ラベルに記載の期限までに使い切りましょう。熱で有機液肥が早く傷むことがあり、傷んだボトルではラベルどおりに養分を供給できません。
5. Athena
ブランドの説明: Athenaは、自社の肥料はシンプルで効果的、品質も安定していると述べています。運用コストを下げられるといいます。現代の商業農場向けに作られた製品だとしています。
訳者注:Athenaはアメリカの企業です。運用コストが下がるという主張は、ご自身の数字で確かめてください。まず、ラベルの用量で作った養液1リットルあたりのコストを計算します。次に、毎週の調合にかかる時間を加えます。数株を育てる家庭栽培者の場合、大容量の業務用パックは使い切る前に期限が切れることがあります。パックの容量と、1作で実際に使う量を比べてください。
6. FloraFlex®
ブランドの説明: FloraFlex®は、水耕栽培用の製品と灌水システムを作っており、高品質だと説明しています。シンプルさ、誠実さ、コストの削減を掲げています。肥料は「コンプリート」(植物に必要なすべての養分を含む)で、使いやすいとしています。
訳者注:FloraFlexはアメリカの企業です。「コンプリート」かどうかは確かめられます。ラベルの成分分析を読んでください。そのうえで、ご自身の水では別にカルシウム・マグネシウム剤が必要かどうかを確認します。熱帯で点滴灌漑を使っている場合は、毎週ドリッパーの詰まりを点検してください。ドリッパーが1つ詰まると、隣の株は元気に見えても、その株だけが養分不足になります。暑い季節には養液タンクも確認してください。タンクの温度がなぜ大切かは、フォーラムのトピックリザーバー温度31 °Cでの水耕栽培で解説しています。
7. Metrop
ブランドの説明: Metropは、自社の肥料を高品質な濃縮液だと説明しています。スローガンは「Maximum nutrition, minimum dosage(最大の栄養を最小の用量で)」です。さまざまな栽培環境に対応できるとしています。
訳者注:Metropはオランダの企業です。1リットルあたりの用量が少ないからといって、コストが低いとは限りません。ブランド同士は、出来上がった養液1リットルあたりのコストで比べてください。この数字は、ボトルの価格を、ラベルの用量で1本から作れる養液のリットル数で割れば出せます。実際の濃さを比べるには、それぞれの養液のEC(電気伝導度。水に溶けている肥料塩の量を示す数値)を測ります。測り方はフォーラムのトピックpHとECで解説しています。
8. Advanced Nutrients
ブランドの説明: Advanced Nutrients(「AN」と略されることもあります)は、大麻の栄養研究の先駆者を名乗っています。苗から開花期まで、生育段階ごとに配合を調整しています。先進技術を使い、成果は科学的データに基づいていると述べています。
訳者注:生育段階ごとのプログラムでは、ボトルの数が多くなりがちです。1本増えるごとに、コストも調合ミスの可能性も増えます。まずは小さなバッチを、ベース肥料だけで始めてください。その後、ほかの製品を1つずつ加えていけば、それぞれの効果がわかります。説明には、どのデータを指すのかが書かれていません。根拠が欲しい場合は、公表された試験結果を代理店に求めてください。フォーラムには利用ガイドと、31 °C・湿度85%での施肥についてのトピックがあります。
9. Guanokalong
ブランドの説明: Guanokalongは、コウモリのグアノ(コウモリの糞を原料とする肥料)から天然肥料を作っています。このグアノはミネラルと有用微生物が豊富だとしています。スローガンは「Harness the power of nature(自然の力を活かそう)」で、持続可能な成長を支えるといいます。
訳者注:Guanokalongはオランダの企業です。ラベルの成分分析を読んでください。グアノは種類によって成分が異なります。成分分析を見れば、その製品が主に窒素を供給するのか、リンを供給するのかがわかります。雨季には、開封した袋を密閉し、乾いた状態で保管してください。湿ったグアノは固まったり、カビが生えたりすることがあります。乾燥したグアノを扱うときは、ほかの粉じんの出る肥料と同じように、防じんマスクと手袋を着けてください。
9ブランドに共通すること
各ブランドは、それぞれ独自のやり方をとっています。9社とも、栽培者のニーズに合わせた、効果的で持続可能な肥料製品を目指しているとしています。
訳者注:こうした共通の目標も宣伝文句です。あなたにとって実際にブランドの差となるのは、次の4つの確認です。その製品はご自身の培地に合っているか。タイで登録されているか。出来上がった養液1リットルあたりいくらかかるか。ご自身の栽培室でどんな結果が出るか。購入前に、それぞれの答えを書き出してください。
小さなバッチでブランドを試す
訳者注:収量やコストの主張を確かめる方法は、ご自身の栽培室での小規模な試験しかありません。栽培室や農場全体を切り替える前に、1作を通して試してください。
- 同じ遺伝系統の株を2〜4株使います。できれば、ご自身のマザープラントから取ったクローンが理想です。 同じ種子パックの株でも、個体差が出ることがあります。そうなると、収量の差が肥料ではなく遺伝によるものかもしれません。ほかの農場から買ったクローンは、害虫やホップ潜在ウイロイド(HLVd)を持ち込んだり、品種が違っていたりすることがあります。
- 変えるのは肥料だけにします。 光、鉢の大きさ、培地、水やりは、すべての株で同じにします。そうすれば、出た差は肥料によるものだとわかります。
- ラベルの用量で調合し、調合するたびにpHとECを記録します。 記録があれば、問題が製品によるものか、調合によるものかがわかります。
- 1株あたりの肥料コスト、調合にかかった時間、起きた問題を記録します。 問題には、肥料焼けや欠乏症の症状が含まれます。これらの数字から、その製品に実際いくらかかっているかがわかります。
- 収穫時に、各株の乾燥重量を量ります。 2つの肥料の間で、1株あたりの収量とコストを比べます。
タイには暑季と、湿度の高い雨季があります。可能であれば、もう一方の季節にも試験を繰り返してください。4月の結果と9月の結果は異なることがあるためです。
結果を共有しましょう
試験の結果や質問は、このトピックの下に投稿してください。ブランドを比べるときは、培地、栽培室の温度、湿度、EC、1株あたりのコストも書き添えてください。条件がわかって初めて、ほかの栽培者があなたの結果を役立てられます。
これらの説明の出典
上記のブランドの説明は、各ブランド自身の宣伝内容をまとめたものです。元のフォーラム投稿には、リンクや資料は付いていませんでした。主張を確かめるには、ブランド自身の製品ページとボトルのラベルを読んでください。