屋内大麻栽培の栽培室設計:エアコン、センサー、レイアウト、電気の安全、記録(後編)

屋内の大麻栽培室は、3つの条件がそろえば安定します。冷房と除湿の能力が実際の負荷に見合っていること、センサーが植物のある位置に設置されていること、そして記録から何が問題だったのかが分かることです。後編では、エアコン、除湿機、二酸化炭素(CO₂)の添加、照明からの熱、センサーと環境の目標値、レイアウト、衛生、電気の安全、記録を扱います。

前編で紹介した次のルールが、この後編のすべてに関わります。室内で使う電力は、1ワットごとに約3.41 BTU/h(英国熱量単位毎時)の熱になります。すべての機器のワット数と建物から入る熱を合計し、さらに余裕分として20%を加えてください。冷房には、この合計を取り除ける能力が必要です。

訳者注:このように始まる段落では、タイや東南アジアで条件が変わる点を補足しています。元記事の誤りの訂正も、この形で示しています。

本記事は後編です。前編:https://asiannabis.com/t/1323

4. エアコン、除湿機、CO₂

4.1 セパレート型エアコン

約20 m²までの部屋なら、東南アジアで最も実用的な冷房は、性能の良いインバーター式のセパレート型エアコン(室内機と室外機に分かれたタイプ)です。インバーター式のコンプレッサーは、オン・オフを繰り返すのではなく、出力を細かく調整します。一定速の機種では温度の振れ幅が±2 °Cほどですが、インバーター式なら約±0.5 °C以内に保てます。1サイクル全体での電気使用量も、ずっと少なくなります。

購入前に顕熱比(SHR)を確認してください。エアコンには2つの役割があります。1つは空気の温度を下げること(顕熱の冷却)です。もう1つは、冷えたコイルに結露した水を取り除くこと(潜熱の冷却)です。SHRとは、エアコンの能力のうち、温度を下げるために使われる割合です。

家庭用のエアコンは、主に一般家庭の通常の湿度で冷やすことを前提に作られています。一方、同じ広さの部屋でも、植物は人よりはるかに多くの水分を放出します。そのため栽培室には、SHRが低い機種、つまり水分を取り除く能力の大きい機種が必要です。元記事では、外気100%で運転できる業務用機や、温室・サーバールーム向けの機種はSHRが良い傾向があるとしています。しかし、サーバールームについては誤りです。サーバールーム用の精密空調機は、SHRが高く(多くは約0.95)設計されています。コンピューターはほとんど水分を出さないためです。これは栽培室に必要な性能とは正反対です。

施工業者に仕様書を見せてもらってください。顕熱能力と全能力が記載されていれば、顕熱能力を全能力で割るとSHRが出ます。この数値で機種を比べてください。タイの条件での能力選定については、タイの開花室向け除湿機とエアコンのサイジングを参照してください。

4.2 除湿機

開花後期には、植物が大量の水分を放出します。エアコンの能力が適切でも、別に除湿機が必要になることがよくあります。70パイント(米国の表示基準で、1日約33リットル)のコンプレッサー式除湿機1台で、約26 °Cの環境なら、開花後期の密なキャノピー約2〜3 m²分に対応できます。したがって、4.8 m²のキャノピーには、このクラスの除湿機が2台必要です。

除湿機は熱を出します。消費電力700 Wの機種なら約700 W分の熱が加わり、その熱もエアコンが取り除かなければなりません。エアコンを選ぶ前に、すべての除湿機を熱負荷の合計に含めてください。

訳者注:一日中誰も見ていない部屋では、タンクを使わずに、除湿機の排水ホースを床の排水口につないでください。多くの機種はタンクが満水になると止まり、誰も気づかないうちに湿度が上がってしまいます。

4.3 CO₂の添加

通常の外気には、約427 ppm(100万分率)のCO₂が含まれています(2025年の平均値)。この濃度では、大麻の光合成は、最新のLEDやダブルエンド型HPSランプが出す光量よりずっと低いところで頭打ちになります。CO₂を1,000〜1,500 ppmに上げると、植物は強い光を十分に活用できるようになります。

元記事は、光合成の増加の根拠としてメタ分析(Poorter et al., 2022)を引用しています。この研究では、CO₂ 200〜1,200 ppmの範囲で、葉面積あたりの光合成が2倍以上になりました。ただし、この研究はC3植物(大麻も含まれる大きな植物グループ)の多くの種のデータをまとめたものです。大麻での試験ではありません。

CO₂の添加は、密閉またはほぼ密閉された部屋でなければ効果がありません。排気ファンが動いていれば、CO₂を加えた空気がそのまま外に出てしまい、お金の無駄になります。密閉室には、外気を入れずに環境を維持できる冷房と除湿の能力が必要で、さらに予備機も必要です。自動停止機能付きのCO₂モニターも欠かせません。CO₂濃度が高くなると酸素が押し出され、室内にいる人が危険にさらされるためです。

元記事は、中小規模の部屋の多くでは、添加設備に投資するよりも、通常のCO₂濃度のまま空気の流れと光を改善するほうが効果が大きいと結論づけています。密閉室と換気式の部屋の比較は、前編の3.7節にあります。まず空気の流れと光の改善から始め、添加設備を買う前にCO₂の添加:いつ必要で、いつ無駄になるかを読んでください。

5. 照明からの熱

5.1 ランプの種類による熱の出方

600 WのHPS(高圧ナトリウム)ランプは、廃熱の多くを放射熱として下向きに出します。これにより強い上昇気流が生まれ、室内の空気が動き続けます。同じ出力のLEDなら、同じPPFDを得るのに通常400〜500 Wで済みます。PPFD(光合成光量子束密度)とは、植物が利用できる光が1平方メートルあたり1秒間にどれだけ届くかを示す量です。詳しくは光のスペクトルとDLIをご覧ください。

LEDは、熱の大部分を下向きの赤外線としてではなく、本体から周囲の空気に放出します。ワット数が少ないぶん熱も少ないため、LEDの部屋は冷やしやすくなります。ただし強い上昇気流が生まれないため、暖かい空気が天井付近にたまります。そのためLEDの部屋では、横向きに風を送る天井ファンや壁掛けファン(HAFファン、水平気流ファン)を追加する必要があることがよくあります。

訳者注:熱量は、LEDでもHPSでも、消費電力1ワットあたり3.41 BTU/hで計算してください。元記事はLEDに低い数値を使っていますが、これは誤りです。600 WのHPSランプ4灯を450 WのLED 4灯に置き換えると、熱は8,184 BTU/hから約6,140 BTU/hに減ります。切り替えた後は、天井付近とキャノピーの温度を1週間記録してください。天井付近のほうが数度高ければ、HAFファンを追加します。

5.2 ライトムーバー

照明の台数が限られていて、キャノピー全体を均一に照らせない場合があります。ライトムーバーは、照明器具1台をレールに沿ってゆっくり往復させる装置です。これにより、照らせる面積が30〜40%広がります。器具の数が少なくて済み、熱も減ります。その代わり、駆動部のメンテナンスが必要になり、照明の吊り下げも複雑になります。部屋全体を切り替える前に、まず器具1台にムーバー1台を付けて試してください。

6. センサー、コントローラー、環境の目標値

6.1 センサーの設置場所

設置場所を間違えたセンサーは、もっともらしく見えても実際とは違う値を示します。次のように設置してください。

  • 温度と湿度: キャノピーの高さで、照明と最上部の葉の間、部屋の中央3分の1の範囲に置きます。壁や照明の真上には置きません。直射光が当たると高めの値が出るため、光が当たらないようにします。植物が実際に感じているのは、キャノピーのすぐそばの空気です。
  • CO₂(使用する場合): キャノピーの高さに置きます。CO₂は空気よりわずかに重いものの、空気がよく混ざっている部屋ではかなり均一に広がります。それでも、キャノピーで測れば植物が実際に受け取っている濃度が分かります。
  • 養液タンクの温度: 給液ラインではなく、タンクの中で測ります。根域の最適温度は18〜22 °Cですが、栽培者はこの確認を忘れがちです。

訳者注:チラー(冷却装置)のないタンクは、タイの栽培室では22 °Cを大きく超えることがあります。対策の比較はリザーバー温度31 °Cでの水耕栽培にあります。

6.2 コントローラー

Autopilot、Trolmaster、Growlinkなどの栽培室用コントローラーは、センサーの値を読み取ります。そして1台で、エアコン、ファン、除湿機、CO₂、照明のオン・オフを切り替えます。段階制御プロファイル(ramp profile)を実行できる機種もあります。これは、12週間のサイクルの中で生育段階に合わせ、温度を段階的に上げたり、湿度を段階的に下げたりする設定です。

最低限、冷房用と暖房用に別々の出力コンセントを持つ温湿度一体型コントローラーを使ってください。アナログのダイヤル式サーモスタットには頼らないでください。

訳者注:購入前に、タイ国内での保証と修理対応について販売者に確認するか、機材および資材で他の栽培者に聞いてください。タイの栽培室の多くでは、出力コンセントで切り替えるのは暖房よりも冷房と除湿がはるかに多くなります。コントローラーを設置したら、電源を1分間切り、設定が保持されているか確認してください。

6.3 飽差の目標値

飽差(VPD)は、温度と相対湿度 (RH) を1つにまとめた数値です。空気が葉から水分をどれだけ強く引き出すかを示します。元記事の目標値は次のとおりです。

生育段階 VPD目標値(kPa) 標準的な温度(°C) 標準的なRH(%)
苗またはクローン 0.4–0.8 23–25 70–80
栄養成長期の前半 0.8–1.0 24–26 60–70
栄養成長期の後半 1.0–1.2 24–26 55–65
開花初期 1.0–1.2 23–26 55–65
開花後期 1.2–1.6 22–24 40–50

VPDが高すぎると、植物は乾燥を防ぐために気孔(葉の表面にある小さな穴)を閉じます。するとCO₂の取り込みが減り、成長が遅くなります。VPDが低すぎると、養分を株の上部へ運ぶ水の流れが遅くなります。葉の表面も濡れたままになり、病気が発生しやすくなります。

訳者注:元記事はこの表の出典をBugbee(2004)としています。しかしこの論文は、循環式水耕栽培での養分管理に関するもので、VPDを扱ったものではありません。表の範囲は研究結果ではなく、栽培者の間で一般的な目標値として扱ってください。大麻の生育段階ごとのVPD目標値について、査読付きの出典は見つかりませんでした。タイの雨季には、開花後期のRH 40〜50%は除湿機なしでは達成できません(4.2節)。

いまの生育段階の行を探し、その値をコントローラーに設定してください。毎週、データロガーの記録をこの表と見比べて確認します。

7. レイアウトと衛生

7.1 機器の配置

  • 吸気口は低い位置、排気口は高い位置にします。上昇する暖かい空気を、そのまま排気できるようにするためです。
  • 除湿機は部屋の中央、または湿度が最も高い場所に置きます。通常は、密なキャノピーの中央部です。
  • 養液タンクは、できれば栽培室の外か、断熱したキャビネットの中に置きます。部屋の1日の温度変化から離しておくと、タンクの温度を管理しやすくなります。
  • エアコンは壁の中ほどの高さか、それより低い位置に設置し、照明より上には絶対に付けません(8節)。

7.2 通路と日々の作業

栽培者は、日々の作業にかかる時間を少なく見積もりがちです。次の点を計画に入れてください。

  • 各栽培エリアの四方すべてに、幅60 cm以上の通路を確保します。点検、誘引などの整枝作業、害虫の見回りのためです。
  • 入口からすべての株が見渡せるようにします。害虫や病気を見つけるには、株のあらゆる面を近くで確認する必要があるためです。
  • 給水、排水、電源の接続部は、通路を横切らない位置に配置します。

7.3 部屋を清潔に保つ

害虫や病気は、主に衣服、道具、クローン、フィルターを通していない空気から入り込みます。次の基本的な対策で、リスクを大きく減らせます。

  • 栽培室専用の靴を用意するか、入口に足洗い槽(薄めた漂白剤または第四級アンモニウム塩)を置きます。
  • 室内の表面は、すべて滑らかで洗えるものにします。機器の断熱材を除き、むき出しの木材、カーペット、布は使いません。
  • 入室前に、圧縮空気や粘着式のクリーナー(コロコロ)で衣服のほこりや汚れを落とします。
  • 株を移るごとに、70%イソプロピルアルコールまたは10%漂白剤溶液で道具を消毒します。

訳者注:他の農場から入手したクローンは、ハダニ、うどんこ病、ホップ潜在ウイロイドを持ち込みやすいものです。ホップ潜在ウイロイド(HLVd)は、株を矮化させて収量を減らす、ごく小さな病原体です。また、クローンが別の品種だったと後から分かることもあります。新しいクローンは別の場所で管理し、メインの栽培室に入れる前に点検してください。

8. よくある設計ミス

ミス 何が起こるか 対策
排気ファンが小さすぎる 熱と湿気がこもり、成長が止まる 計算上の必要換気量の1.3〜1.5倍の能力にする
エアコンが照明より上にある ランプの熱い空気を吸い込み、効きが悪くなる 壁の中ほどの高さか、それより低い位置に設置する
固定したセンサーが1台だけ 部屋の場所ごとの差を見逃す キャノピーの端と中央にもセンサーを追加する
除湿機がない 開花後期に湿度が急上昇し、バッドロット(花穂の腐敗)の危険がある 開花室には除湿機を追加する
外壁に断熱がない 結露が起こり、エネルギーが無駄になる R-13(約RSI 2.3)以上の断熱にし、防湿層を正しい側に設ける(前編2.2節)
予備エアコンのない密閉室 最初の暑い日にCO₂添加が成り立たなくなる 熱負荷全体に見合う冷房能力にし、予備機を追加する

9. 電気の計画と安全

9.1 回路の負荷

栽培室専用の回路を設けると、ブレーカーが落ちにくくなり、火災のリスクも下がります。機器を定格電圧で動かせるという利点もあります。各回路とブレーカーは負荷に合わせて選び、現地の電気規則と有資格の電気工事士の判断に従ってください。供給電圧(例:220〜240 Vや120 V)やブレーカーの定格は、国や建物によって異なります。

回路を確認するには、その回路につながるすべての機器のワット数を合計し、電圧で割ります。その結果を、ブレーカー定格の80%と比べてください。これは、何時間も続けて動く負荷に対する一般的な上限です(連続負荷ルール)。

元記事の例(220 V回路、20 Aブレーカー):最大連続負荷 = 20 A × 220 V × 80% = 3,520 W。600 WのHPSランプ2灯、350 Wの除湿機、ファン合計200 Wで1,750 Wとなり、上限を十分下回ります。照明を3灯にすると2,350 Wで、まだ安全です。4灯目を加えると約3,000 Wとなって上限に近づくため、2つ目の回路を追加します。

訳者注:元記事のこの例では350 Wの除湿機を使っていますが、熱負荷の節では700 Wの機種を使っています。700 Wで計算すると回路の負荷は2,100 Wで、照明3灯では2,700 Wになります。4灯目を加えると3,300 Wとなり、上限までの余裕は220 Wしかありません。計算には、お手持ちの機器のラベルに記載されたワット数を使ってください。

実際には、照明用に1回路、空調機器(エアコンと除湿機)用にもう1回路を設けます。ほかに消費電力の大きい設備があれば、3つ目の回路を追加します。

9.2 感電防止と接地(アース)

栽培室では水と電気が近くにあるため、感電や火災は現実のリスクです。次の対策をすべて行ってください。

  • すべてのコンセントを漏電遮断器(RCD)で保護します。北米ではGFCI、タイではเครื่องตัดไฟรั่วと呼ばれます。RCDは、電流が大地に漏れると電源を遮断します。特にタンク、ミスト装置、加湿器の近くで重要です。
  • すべての機器を正しく接地(アース)します。各コンセントが本当に接地されているか、電気工事士に測定してもらってください。
  • 延長コードを恒久的な配線として使わないでください。負荷に見合った定格の、サージ保護付き電源タップを使います。
  • 電源タップとランプのコードを毎月点検し、熱による傷み、ネズミのかじり跡、水濡れがないか確認します。

9.3 バックアップ

誰も見ていない部屋では、どんな故障でも収穫の大部分を失うおそれがあります。

機器 故障すると何が起こるか バックアップ
エアコン 急な温度上昇で、数時間以内に植物が枯れることがある 2台目のエアコン、タイマーで動くフェイルセーフ換気
照明タイマー 照明が24時間点灯したままになり、植物が開花しない タイマーを2台にし、一方をもう一方の予備にする
給水ポンプ(水耕栽培) タンクの水が動かなくなり、根が枯れる バッテリー式の予備ポンプ、水位アラーム
CO₂システム(使用する場合) CO₂がたまって酸素を押し出し、人に危険が及ぶ アラーム付きのCO₂モニター

訳者注:停電すると、この表の機器がすべて同時に止まります。停電は嵐と一緒に起こることがよくあります。次の3つが役立ちます。

  • コントローラー、センサー、アラーム、インターネットルーター用のUPS(無停電電源装置。短い停電の間、電気を供給し続けるバッテリー装置)。停電中も警報が届くようにするためです。照明やエアコンは、通常は小型のUPSでは賄えません。
  • エアコンとファン用の、自動切替スイッチ付きの予備発電機。容量の選定と接続は、有資格の電気工事士に依頼してください。
  • 停電したときや、温度が設定した上限を超えたときに、スマートフォンにメッセージを送るアラーム。

部屋が空のときに、設備をテストしてください。メインブレーカーを数分間切ります。その後、どの機器が自動で再起動するか、タイマーとコントローラーが設定を保持しているかを確認します。

10. 記録とデータロギング

10.1 記録する内容

毎回安定して収穫できている部屋は、ほぼ例外なく、詳しい記録をつけている栽培者のものです。10〜14週間のサイクルの間に、そのときは当たり前に思えた細かい点を忘れてしまいます。たとえば、肥料焼けを起こした施肥の週や、6週目の高温ストレスの原因になった温度などです。少なくとも次の項目を記録してください。

  • 発芽日、またはクローンを植え付けた日
  • 同じ代表的な株を、同じ角度から毎週撮った写真
  • 給液と排液(ランオフ)の毎週のEC(電気伝導度。養分濃度の目安)とpH。pHとECを参照
  • キャノピーでの毎週の最低・最高温度
  • 毎週の最低・最高湿度
  • 見つけた害虫や病気のすべてと、その日付

訳者注:許可を受けた農場を運営している場合は、監査で確認される記録について大麻の適正農業・採取規範(GACP)を参照してください。また、栽培日記に栽培の記録を投稿すれば、他の栽培者が記録の読み解きを手伝ってくれます。

10.2 データロガー

メモリー付きの安価なデジタル温湿度ロガーは、サイクル全体の最低値と最高値を記録します。毎週記録を見直し、パターンを探してください。よくあるのは、午前3時ごろに温度が下がって湿度が上限を超える、照明点灯中の正午に温度が急上昇する、水やりの日に湿度が上がる、といったパターンです。1週間分の記録があればこうしたパターンが見えますが、その場で1回ずつ測るだけでは見逃してしまいます。

スマートフォンのアプリと同期するBluetoothやWi-Fi対応のロガーは、測定値が設定範囲を外れるとすぐに通知を送ります。一日中誰も見ていない部屋で特に役立ちます。

11. まとめ

栽培室は、全体が1つのシステムとして動いています。冷房能力によって、部屋が受け止められる除湿機の熱の量が決まります。空気の流れによって、センサーがキャノピーの実際の状態を示せるかどうかが決まります。断熱によって、部屋の環境がどれだけ安定するかが決まります。最も安定した結果を得るには、高価な品種や肥料よりも先に、エアコン、断熱、モニタリングにお金をかけてください。

次のステップから始めてください。

  1. 熱負荷を合計し、その20%増しの冷房能力を選びます(前編1.3節)。
  2. 開花後期に合わせて除湿機を選び、その熱も負荷に加えます(4.2節)。
  3. 部屋の中央、キャノピーの高さにセンサーを置き、丸1週間記録します(6.1節と10.2節)。
  4. 照明と空調機器を別々の回路にし、RCDで保護します(9.1〜9.2節)。
  5. 部屋が空のときに停電テストをします(9.3節)。

数値をチェックしてほしい場合は、部屋の広さ、機器のワット数、1週間分のロガーの記録を、このトピックへの返信として投稿してください。

参考文献

  • Bugbee, B. (2004). Nutrient management in recirculating hydroponic culture. Acta Horticulturae, 648, 99–112. https://doi.org/10.17660/ActaHortic.2004.648.12 — 元記事ではVPDの表の出典として引用されていますが、この論文が扱っているのは水耕栽培の養分管理です(6.3節を参照)。
  • Poorter, H., Knopf, O., Wright, I. J., Temme, A. A., Hogewoning, S. W., Graf, A., Cernusak, L. A., & Pons, T. L. (2022). A meta-analysis of responses of C3 plants to atmospheric CO₂: dose–response curves for 85 traits ranging from the molecular to the whole-plant level. New Phytologist, 233(4), 1560–1596. https://doi.org/10.1111/nph.17802
  • ASHRAE. (2021). ASHRAE Handbook: Fundamentals. American Society of Heating, Refrigerating and Air-Conditioning Engineers. — 元記事に掲載。特定の数値の出典としては引用されていません。
  • Chandra, S., Lata, H., Mehmedic, Z., Khan, I. A., & ElSohly, M. A. (2015). Light dependence of photosynthesis and water vapor exchange characteristics in different high Δ9-THC yielding varieties of Cannabis sativa L. Journal of Applied Research on Medicinal and Aromatic Plants, 2(2), 39–47. https://doi.org/10.1016/j.jarmap.2015.03.002 — 元記事に掲載。特定の数値の出典としては引用されていません。