ブリーダーズラボ:親株の選び方、交配、系統の選抜、女性化種子(フェミナイズドシード)の作り方

この掲示板は、種子を買うのではなく自分で作る栽培者のための場所です。親株の選び方、交配のやり方、そして何世代にもわたって最良の株を選抜する方法を扱います。チオ硫酸銀(STS)を使った女性化種子(フェミナイズドシード)づくりも扱います。STS は銀を含む溶液で、雌株に散布すると雄花を咲かせるようになります。

この掲示板では、遺伝的浮動(ドリフト)と系統の退化も取り上げます。ドリフトとは、毎世代ごく少数の株しか残さないときに、形質が偶然によって変わったり消えたりすることです。こうした問題は、交配から2世代後に系統の中で表に出てくることがよくあります。原因と対策は大麻のストレイン(系統・品種)の退化:原因、結果、および解決策で解説しています。

育種の大半は選抜であり、選抜の大半は記録づけです

株に受粉させる作業は、午後のひとときで終わります。しかし、子のうちどれを次の親にするかを決めるには、栽培サイクルをまるごと1回使います。うまく決めるには、すべての株について正直な記録が必要です。そして、そのほとんどを捨てる覚悟も必要です。

そのためこの掲示板のスレッドでは、技術と同じくらい、こうした作業の習慣を重視しています。育てる株にはそれぞれ固有の表現型(フェノタイプ)があります。つまり、実際の育ち方、見た目、香りです。多くの種子から1株のキーパーを選ぶ手順は、フェノハンティング(表現型選抜):1袋の種子から1株のキーパーマザーまでで順を追って説明しています。

やること:最初の交配の前に、すべての株に番号札を付けます。交配ごとにノートかスプレッドシートを1つ用意します。親株、播種日、そして株ごとの週1回の短い記録(勢い、香り、害虫、開花期間、雄花の有無)を書き留めます。こうすれば、親株を記憶ではなく書かれた記録から選べます。

始める前に理解しておきたい2つのこと

女性化種子とレギュラーシード(通常種子)は役割が違います

女性化種子を作るには、雌株に STS を散布します。この薬剤で雌株が雄花を咲かせるので、その花粉を別の雌株か同じ株に付けます。両親とも雌なので、種子は2つの雌株の遺伝を受け継ぎ、雌株に育ちます。

雌雄同体とは、雌花と雄花の両方を付ける株のことです。通常の交配では、本物の雄株と本物の雌株を使います。その交配から生まれた雌の子が、普通の条件で雄花を付けたなら、その傾向は遺伝によるものだとわかります。そうなれば、その親株を外すことができます。

女性化交配では、この情報は得られません。花粉親は薬剤で無理に雄花を咲かされた雌株で、その子には選抜できる雄株が含まれないからです。そのため女性化種子は、通常の雄株のように、系統に雌雄同体の傾向がないかを調べる目的には使えません。

どちらの方法も役に立ち、一方で他方を置き換えることはできません。女性化種子は、素性のわかった株から雌株ばかりの作物を得られます。レギュラーシードは、選抜できる雄株と、雌雄同体を確認する手段を与えてくれます。

やること:ある系統を何年も維持するつもりなら、そのレギュラー版(雄と雌がそろうもの)も残しておきます。そうすれば、あとからでも雄株を選抜でき、系統の雌雄同体の傾向を確認できます。

1代目はそろい、2代目でばらつきが見えます

安定した親とは、その種子から育つ株の見た目や性質がそろう系統のことです。F1 は2つの親を交配して得られる最初の世代です。F2 は2株の F1 どうしを交配して得られる種子です。F1、F2、BX といった種子ラベルの用語は、大麻の遺伝学を解読する:種子ラベルで栽培者が誤解しがちなブリーダーの用語で説明しています。

両親がともに安定していれば、F1 の株はたいていそろいます。F2 では両親の形質が新しい組み合わせで混ざるため、株ごとに違いが出始めます。家庭でブリーディングする人の多くは F2 を一度も育てません。その結果、自分の交配が本当に何を持っているのかを見ることがありません。

やること:残したい交配は、F1 の種子を一部とっておき、そこから F2 を育てます。スペースが許す限り多くの F2 株を育て、どれだけばらつくかを記録します。これで、どの形質がすでに固定され、どれがまだ分離しているかがわかります。

戻し交配、外部交配、系統の安定化

方法 やること 目的 主なリスク
戻し交配(バッククロス, BX) 子を片方の親ともう一度交配する 残したい株に系統を近づける 系統が狭まり、もう一方の親から欲しかった形質が失われることがある
外部交配(アウトクロス) 血縁のない系統と交配する 新しい形質や勢いを加える そろいが崩れ、選抜にさらに多くの世代が必要になる
安定化 選んだ兄弟株どうしを数世代にわたって交配する 種子から似た株が育つようにする 残す株が少なすぎるとドリフトが起き、株が弱くなる

戻し交配の手順

戻し交配では、残したい雌株、多くの場合は維持しているマザーのクローンに戻すのが一般的です。ブリーダーはこの株を反復親(recurrent parent)と呼びます。プロジェクトの間ずっとこの株をクローンとして生かしておく必要があるので、まずマザープラントとクローンを読んでください。

  • BX1:F1 の株を反復親と交配します。
  • BX2:最も良い BX1 株を選び、同じ親ともう一度交配します。
  • BX3 と BX4:各回で最も良い株を使い、同じ手順を繰り返します。

1回ごとに、まだもう一方の親から来ている遺伝子のおよそ半分が置き換わります。平均すると、BX1 は反復親の遺伝子を約75%、BX2 は約87.5%、BX3 は約93.75%、BX4 は約96.9%持ちます。これらは期待される平均値で、実際の株はその前後でばらつきます。各交配では、選抜した雄の子の花粉をマザーのクローンに受粉させます。もう1つの方法は、2株のうち1株を STS で性転換させることです。

やること:毎回、もう一方の親から欲しかった形質を示す株だけを残します。狙いは、マザーの性質の大部分に、その1つの形質を加えることです。1回でも選抜を飛ばすと、その形質が失われることがあります。

外部交配

外部交配とは、自分の系統を血縁のない系統の株と交配することです。勢いや、自分の農場で見られる問題への耐性など、系統に必要なものが欠けているときに使います。F1 は良く見えるかもしれません。しかし続く世代では再びばらつくので、何回かの選抜を計画しておきましょう。

系統の安定化

系統を安定させるには、選んだ兄弟株どうしを交配して F2、F3、それ以降の世代を育てます。各世代で、目標の形質を示す株だけを残します。種子から似た株が育つようになったら終了です。

近い親戚どうしの交配を近親交配(インブリーディング)と呼びます。毎世代ごく少数の株しか残さないと、どの形質が残るかは偶然で決まります。これがドリフトです。強い近親交配を続けると、株が少しずつ弱くなることもあります。これが、交配から2世代後に系統が退化しうる理由の1つです。

やること:始める前に、目標とする形質を2〜3個書き出します。各世代で、スペースが許す限り多くの株を育てます。可能であれば、親として雄1株・雌1株より多く残します。こうすることで、良い形質が偶然失われるリスクを下げられます。

雄株の選抜、花粉の採取、手作業での受粉

雄株の選び方

雄株が得られるのはレギュラーシードだけです。雄株を姉妹株の隣で育て、勢い、枝の構造、暑さや害虫への耐え方を比べます。雄株を評価する最も確かな方法は、その子を見ることです。候補の雄株それぞれで小さなテスト交配を行い、その種子を育てて、娘株が最も良かった雄株を残します。

花粉は空気に乗って、また衣服や手に付いて運ばれます。雄株は、開花中の雌株から離れた別の部屋で開花させます。雄株の部屋から開花室へ移る前には、着替えて手を洗います。こうすることで、作物に望まない種子ができるのを防げます。

花粉の採取と精製

雄花が開き始めたら、枝を数本切り取ります。風がなく乾いた部屋で、清潔でなめらかな紙の上に花粉を落とさせます。細かいメッシュで花粉をふるい、花の部分や植物くずを取り除きます。きれいで乾いた花粉は、植物片が混ざった花粉よりも長持ちします。

花粉の保存

花粉は暖かい場所や湿った場所では早く力を失います。乾燥させてから、シリカゲルなどの乾燥剤と一緒に、小さな密閉バイアルに入れます。各バイアルのラベルに、雄株の番号札の番号と日付を書きます。短期間で使うなら冷蔵庫、長期保存なら冷凍庫で保管します。

冷えたバイアルを開ける前に、室温に戻るまで待ちます。これで花粉に水滴が結露するのを防げます。花粉や種子がどれくらいの期間生きているかは、種子と花粉の保存で扱っています。

手作業での受粉

開花初期で、白く新鮮なめしべ(ピスティル)を持つ雌株を選びます。めしべとは、花にある花粉を受け止める毛のことです。まず部屋のファンを止めます。選んだ1本の枝に筆で花粉を付けるか、枝に紙袋をかぶせて袋の中で花粉を振りかけます。

枝には、花粉の出どころと日付を書いたラベルを結び付けます。1本か数本の枝だけに受粉させれば、株の残りの部分には種子ができません。その後、種子が熟すまでには、株の上でさらに数週間かかります。

訳者注:花粉は放出されるとすぐに受粉能力を失います。さらに雨季の暖かく湿った栽培室では、保存がより難しくなります。花粉の採取とふるい分けは、エアコンの効いた部屋など、いちばん涼しく乾いた部屋で行ってください。花粉は複数の小さなバイアルに分け、一度に1本だけ開けるようにします。各バイアルに乾燥剤を入れておけば、短い停電があっても湿気が入りません。

訳者注:1つのバッチに頼る前に、まず1本のバイアルを1本の枝で試します。これで、花粉が保存後も生きているかがわかります。種子の付いた花穂は、株の上に長く残ります。雨季には密な花穂が灰色かび病(ボトリティス)のリスクを高めるので、収穫まで空気を動かし、湿度を低く保ってください。

訳者注:タイで STS を安全に使うために

STS は硝酸銀とチオ硫酸ナトリウムを混ぜて作ります。詳しい作り方は、冒頭でリンクした STS のトピックにあります。硝酸銀は皮膚にしみを付け、やけどを起こし、目を傷めることがあります。混合と散布の間は、手袋と保護メガネを着用してください。散布は換気の良い場所で、ほかの株から離れて行います。

残った溶液を排水口や土に流してはいけません。ふたをしてラベルを貼った容器に保管し、薬品の購入先か地元の行政機関に処分方法を問い合わせてください。散布した株は花粉の供給源としてだけ扱い、その花を収穫して使わないでください。薬品を購入するには、タイ国内の実験用試薬の販売業者に問い合わせます。書類が必要かどうか、必要なら何が要るかも確認してください。この掲示板のほかのメンバーに聞くこともできます。薬品を使わずに女性化種子を作る方法は、ロデライゼーション(AFT)で取り上げています。

訳者注:親株をどこから入手するか

自分で育てて記録してきた株から始めてください。ほかの農場から買ったクローンは、害虫を持ち込んだり、品種が違っていたり、ホップ潜在ウイロイド(HLVd)を持っていたりすることがあります。HLVd は株の生育を止め、収量を減らす病気です。HLVd は種子を通じてうつると報告されており、ホップ潜在ウイロイドで解説しています。新しいクローンは、確認が済むまで自分の株から離しておきます。購入した種子から始める場合は、まずタイの種子販売業者を見極める方法を読んでください。

訳者注:タイの法律

大麻の花穂は、保健省告示「規制ハーブ(大麻)」仏暦2568年に基づく規制ハーブです。この告示は2025年6月26日から施行されています。花穂は、PT 33 処方箋(ภ.ท.33)がある場合に限り、最大30日分までしか販売できません。花穂の広告とオンライン販売は禁止されているので、ブリーディングで得た花穂をこのフォーラムで売りに出さないでください。

規制ハーブに関する省令(第2号)仏暦2569年は、2026年4月30日から施行されています。この省令は、大麻の花穂に関する許可基準を厳しくしました。タイ伝統医療保護法(仏暦2542年)第78条により、許可なく規制ハーブを販売または加工すると、1年以下の懲役もしくは20,000バーツ以下の罰金、またはその両方が科されます。

種子の育種と販売のルールは、また別の問題です。種子を譲ったり売ったりする前に、2026年にタイで大麻の種子を買うとタイで規制ハーブとなった大麻を読んでください。大麻管理法案(Cannabis Control Act)はまだ法律になっていません。内閣は2026年9月22日に法案を承認し、下院に送付しました。プロジェクトを始めるたびに、変更がないか確認してください。

どこから始めるか

上の各セクションでリンクした5つのトピックを、次の順番で読んでください。

  1. 大麻の遺伝学を解読する:種子ラベルで栽培者が誤解しがちなブリーダーの用語
  2. 女性化種子(フェミナイズドシード)の作成:チオ硫酸銀とコロイダルシルバー法のステップバイステップ
  3. フェノハンティング(表現型選抜):1袋の種子から1株のキーパーマザーまで
  4. 大麻の性別:雄株・雌株・雌雄同体とDNA検査
  5. 大麻のストレイン(系統・品種)の退化:原因、結果、および解決策

このトピックの下で質問してください

質問やプロジェクトを、下に返信として投稿してください。両親の名前、世代(F1、F2、BX1…)、育てた株の数、何を目指して選抜しているかを書いてください。写真と、記録の中の関係する部分も添えてください。こうした情報があれば、ほかのブリーダーが具体的に答えられます。