実験室の研究では、大麻の成分が培養皿の中のがん細胞を殺します。ただし、それは人の血液では届かないほど高い濃度での話です。大麻ががんを治療できることを示した、十分な質と規模を備えたヒト試験はありません。この後編では、その理由を説明します。あわせて、治療を大麻に置き換えた患者に何が起きるのか、注意すべき薬物相互作用は何か、汚染された大麻が免疫の弱い人をどう危険にさらすのかも取り上げます。
前編では、エビデンスが支持する役割はひとつだけで、範囲も狭いことを示しました。抗がん剤による吐き気が標準的な薬で抑えられないときに、カンナビノイドを標準薬に追加するという役割です。痛み、食欲、睡眠、不安については、エビデンスは否定的か、判断するには不十分です。
本記事は後編です。前編:https://asiannabis.com/t/1308
8. 実験室でカンナビノイドはがん細胞に何をするのか
Ramer と Hinz は2022年、British Journal of Cancer 誌でこの分野の研究をレビューしました。対象の研究は細胞株を使っています。細胞株とは、実験室で培養したがん細胞のことです。これらの細胞で、カンナビノイド(大麻の有効成分)は次の3つの作用を示しました。
- アポトーシスを誘導した。 アポトーシスとは、細胞があらかじめ組み込まれた仕組みで自ら死ぬことです。セラミドという脂質分子が細胞内にたまること、そしてタンパク質をつくる部分(小胞体)にストレスがかかることで起きました。
- 細胞の増殖を遅らせた。 Akt という増殖シグナルを止め、細胞の分裂サイクルを停止させました。
- 血管新生を妨げた。 血管新生とは新しい血管ができることで、腫瘍は血液を得るためにこれを必要とします。
濃度の問題:議論の核心
同じレビューは、重要なずれを指摘しています。がん細胞が死んだ研究の多くは、1マイクロモーラーを超える濃度を使っていました。マイクロモーラーは液体中の濃度の単位です。一方、THCを吸入しても飲み込んでも、血中濃度のピークは1マイクロモーラーを超えません。摂取経路によって血中濃度がどう変わるかは、カンナビノイドの薬物動態学をご覧ください。
大麻の量を増やしても、このずれは埋まりません。体が吸収できる量には限りがあり、十分な濃度に届く前に副作用が耐えられなくなるからです。
レビューは逆の作用も記録しています。ヒトパピローマウイルス(HPV)は、頭頸部がんの一部の原因になるウイルスです。こうしたがんの実験モデルでは、THCなどのカンナビノイドで、がんが縮むどころか大きくなりました。レビューはさらに、以前の実験研究も紹介しています。そこでは1マイクロモーラー未満、つまり人の血液で実際に届く範囲の濃度で、がん細胞の増殖が速まりました。
培養皿と患者のあいだにある、さらに2つのずれ
血清とプラスチック。 血清は、血液のうちタンパク質を多く含む成分です。培養皿の細胞に与える液には、ふつう血清を加えます。ところが、カンナビノイドの研究の多くは血清をほとんど、またはまったく使っていません。米国のペンシルベニア州立大学(Penn State)の Carkaci-Salli らは、これでどれほど結果が変わるかを確かめました。2024年の研究で、“Cannabinoids as Potential Cancer Therapeutics: The Concentration Conundrum”(Cannabis and Cannabinoid Research 9(4))として発表されています。
研究チームは4種類のカンナビノイドを10マイクロモーラーで、6種類のがん細胞株に試しました。そのうち3種類は、血清がないほうがよく効きました。THC、CBD、そして実験室で設計された化合物 KM-233 です。血清がないと、これらのIC50が低くなりました。IC50とは、細胞の増殖を半分に抑えるのに必要な濃度です。また血清がないと、THCとCBDは培養皿のプラスチックに大量に付着しました。
著者らによると、体内のカンナビノイドの90〜95%は血液中のタンパク質と結合しています。細胞に作用できるのは、結合していないごく一部だけです。血清のない培養皿では、投与した量がすべて自由に作用できます。そのため、実験室でよくあるこのやり方では、カンナビノイドが、患者の体内で実際に発揮できる以上に強く見えてしまいます。
免疫。 「大麻は免疫ががんと戦うのを助ける」という主張がよく出回ります。しかし、少なくとも一系統のエビデンスは逆の方向を示しています。2022年に Signal Transduction and Targeted Therapy 誌に載った研究は、T細胞を調べました。T細胞は、がん細胞を殺す白血球です。大麻は JAK/STAT を妨げることで、T細胞の抗腫瘍反応を弱めました。JAK/STAT は、T細胞を活性化させる一連のシグナルです。この作用は CNR2 を介して起きていました。CNR2 は CB2受容体をつくる遺伝子です。CB2受容体はカンナビノイドの受容体で、主に免疫細胞にあります。エンドカンナビノイドシステムもご覧ください。
いまでは多くのがんで免疫療法が治療の中心になっているため、この点はいっそう重要です。
あなたにできること: 「大麻はがん細胞を殺す」という投稿を見たら、研究で使われた濃度を確かめてください。それを1マイクロモーラーと比べます。研究の濃度がそれより高ければ、大麻を使う人の体内ではその濃度に届きません。
9. 腫瘍そのものを対象にしたヒト試験
2006年の脳腫瘍パイロット研究
2006年、Guzmán らは British Journal of Cancer 誌にパイロット研究を発表しました。対象は再発した膠芽腫(グリオブラストーマ)の患者9人です。膠芽腫は進行の速い脳腫瘍で、この患者たちは治療後に再発していました。THCは細いチューブ(カテーテル)を通して、手術で腫瘍を取り除いた後の空間へ直接送り込まれました。研究チームがこの経路を選んだのは、血流では十分な量のTHCを腫瘍まで運べないからです。
THC治療を始めてからの生存期間の中央値は24週でした。中央値とは、患者の半数はそれより短く、半数はそれより長く生きたという意味です。米国国立がん研究所(National Cancer Institute)のまとめでは、この研究で臨床的に意味のある効果は示されませんでした。カンナビノイドとグリオーマもご覧ください。
2021年の試験:示したこと、示さなかったこと
2021年、Twelves らは再発膠芽腫を対象にした第1b相試験を報告しました。第1b相試験は初期の試験で、主な目的は安全性の確認です。患者は標準的な抗がん剤テモゾロミドに加えて、ナビキシモルス(nabiximols)のスプレーかプラセボを受けました。試験のパート2では、21人がくじ引きのように無作為に割り振られました。ナビキシモルス群が12人、プラセボ群が9人です。
ネットで広まっている数字は1年生存率で、ナビキシモルス群83%、プラセボ群44%です。しかし、次の背景が一緒に紹介されることはほとんどありません。
- 参加者は21人だけでした。生存率の本当の差を見分けるには、試験が小さすぎました。
- プラセボ群の2人が40日以内に亡くなりました。この群は9人しかいないため、1人亡くなるごとに結果が約11ポイント動きます。
- 6か月時点で腫瘍が大きくならずに生存していた患者の割合は、両群とも同じ33%でした。
著者らの結論は、本当の答えを出せる規模の試験を行う根拠になる、ということだけでした。同じ学術誌の論説は、安易な適応外使用に警告しています。適応外使用とは、薬を承認範囲に含まれない目的で処方することです。
その大規模な試験は ARISTOCRAT と呼ばれ、英国で進行中です。再発膠芽腫に対し、テモゾロミドにカンナビノイドを加えた場合と加えない場合を比べています。試験計画書(プロトコル)は2024年に BMC Cancer 誌で発表されました。
訳者注:ARISTOCRAT試験の実施施設はすべて英国にあり、登録情報では参加者の募集はすでに終わっています。がん治療の一部としてカンナビノイドを使いたい患者は、登録された臨床試験について腫瘍内科医に相談できます。臨床試験では、カンナビノイドは標準治療に追加される形で使われ、患者の状態も経過観察されます。
10. 高用量の大麻オイルの摂取法
このテーマを調べる人の多くは、植物全体から作った濃縮大麻オイルを、決められた期間に量を増やしながら摂る方法を探しています。2000年代後半にカナダの男性が広めた方法で、その人の名前で呼ばれています。リック・シンプソン・オイルをご覧ください。本記事では量、スケジュール、作り方を一切書きません。不安を抱えた人が、腫瘍内科医にかかる代わりにそれに従ってしまうことがないようにするためです。
この摂取法のランダム化比較試験は、一つも発表されていません。対照群のある症例集積研究も発表されていません。「決まった量を決まった日数摂れば決まった結果が出る」という主張は、広く繰り返されていますが、出典がありません。
英国のがん研究慈善団体 Cancer Research UK は、これまでの研究は実験室でのもので、結果もまちまちだと述べています。こうした研究では、カンナビノイドが人のがんを治療できるかどうかは分からないとしています。さらに、こうした製品は品質のばらつきが大きく、中に何が入っているのか誰にも分からないとも付け加えています。
人がこうした摂取法に頼るのは、見通しが厳しいと告げられた後です。それは愚かな行動ではなく、人として自然な反応です。
訳者注:栽培者は、患者のために「がんオイル」を作ってほしいと頼まれることがあります。許可なく規制ハーブを販売したり加工したりすると、タイ伝統医療知識保護振興法 仏暦2542年(1999年)第46条に違反します。第78条により、罰則は1年以下の懲役か2万バーツ以下の罰金、またはその両方です。これとは別に、THCが0.2%を超える抽出物の許可を受けられるのは、一部の主体に限られます。外国人事業法 仏暦2542年でいう「外国人」に当たらないタイの法人、国の機関、タイ赤十字社です。この規定は2026年4月26日に施行された大麻又はヘンプ抽出物に関する省令 仏暦2569年によるものです。こうしたオイルを頼まれたら断り、主治医の腫瘍内科医に相談するよう伝えてください。
11. 患者が治療を置き換えると何が起きるか
Johnson らは2018年、Journal of the National Cancer Institute 誌に研究を発表しました。米国の全国がんデータベース(National Cancer Database)を使い、乳がん、前立腺がん、肺がん、大腸がんの患者281人を見つけました。いずれも、がんが離れた臓器には広がっていない患者です。この患者たちは、代替医療だけを治療法として選んでいました。研究が数えたのは代替医療全般で、大麻だけではありません。この患者たちを、通常の治療を受けた条件の近い患者560人と比べました。
ハザード比は、どの時点でも2つの群の死亡リスクを比べる指標です。ハザード比2.50は、死亡リスクが2.5倍だったという意味です。
| がんの種類 | 5年後の生存率(代替医療のみ) | 5年後の生存率(通常の治療) | 死亡のハザード比 |
|---|---|---|---|
| 4種類のがん全体 | 54.7% | 78.3% | 2.50 |
| 乳がん | 58.1% | 86.6% | 5.68 |
| 大腸がん | 32.7% | 79.4% | 4.57 |
| 肺がん | 19.9% | 41.3% | 2.17 |
| 前立腺がん | — | — | 1.68(統計的に有意ではなく、偶然の可能性がある) |
同じ研究グループは2018年、JAMA Oncology 誌に2つ目の分析も発表しました。こちらは、通常の治療と並行して補完医療を使った人を調べたものです。この人たちのリスクが上がった原因は、通常の治療の一部を断ったことでした。補完療法そのものではありません。危険なのは、治療を置き換えること、そして治療を遅らせることです。患者が大麻を選んでがん治療を断るときをご覧ください。
あなたにできること: 知り合いが治療の代わりに大麻を使おうとしていたら、この表を見せてください。決める前に、この表を腫瘍内科医のところへ持って行くよう勧めてください。
12. がん治療で注意すべき薬物相互作用
シトクロムP450酵素は肝臓の酵素で、多くの薬を分解します。THCは主に CYP2C9 と CYP3A4 で分解されます。CBDは主に CYP2C19 で分解され、CYP2C9 と CYP3A4 も関わります。
さらに、どちらの成分も、実験室の試験でこれらの酵素のいくつかの働きを鈍らせます。ドイツの医学誌 Deutsches Ärzteblatt International の2023年のレビューが、それを一覧にしています。THCは 1A2、3A4、2B6、2C9、2D6 を鈍らせます。CBDは 3A4、2C19、2C9 を鈍らせます。多くの抗がん剤、吐き気止め、オピオイド系鎮痛薬も同じ酵素で分解されます。酵素の働きが鈍ると、ほかの薬が血液中にたまることがあります。大麻の薬物相互作用をご覧ください。
| 薬 | 報告されている影響 | なぜ問題になるか |
|---|---|---|
| ワルファリン(血液を固まりにくくする薬) | Journal of Clinical Medicine 誌の2022年のレビューは、記録のある大麻の相互作用の中でこれを最もリスクが高いと評価しました。INRが急上昇しました。INRは、血液が固まるまでの時間を調べる血液検査です。 | 血液を固まりにくくする薬を飲んでいる人で、出血のリスクがある |
| タクロリムス(免疫を抑える薬) | CBDで血中濃度が大きく上がり、投与量を大幅に減らす必要があった | 移植の後や、移植片対宿主病で使われる。移植片対宿主病とは、幹細胞移植の後にドナーの免疫細胞が患者の体を攻撃する病気 |
大麻は、オピオイドやベンゾジアゼピン系の薬(睡眠薬・抗不安薬)による眠気を強めます。めまいを起こすこともあり、これは2つのグループで深刻です。一つは血小板が少なく(血小板減少症)出血しやすい人です。もう一つはがんが骨に転移している人で、転ぶと骨折するおそれがあります。
大麻と免疫チェックポイント阻害薬
免疫チェックポイント阻害薬は、免疫にかかっているブレーキを外すがん治療薬です。これによってT細胞が腫瘍を攻撃できるようになります。ニボルマブもその一つです。第8節で紹介した「大麻がT細胞を弱める」という実験結果から、大麻がこうした薬の効果を鈍らせるのではないかという疑問が出てきます。2つの観察研究が、その方向を示しています。
Taha ら(The Oncologist、2019年)は、ニボルマブだけを使った患者89人と、ニボルマブに大麻を併用した患者51人を比べました。奏効率は、ニボルマブだけの群で37.5%、大麻併用群で15.9%でした。奏効率の低さと有意に関連していた要因は、大麻だけでした。
Bar-Sela ら(Cancers、2020年)は、免疫療法を始める患者102人を追跡しました。そのうち34人が大麻を使っていました。がんが再び大きくなるまでの期間の中央値は、大麻使用者で3.4か月、非使用者で13.1か月でした。全生存期間の中央値は6.4か月と28.5か月でした。
どちらの研究も観察研究で、交絡があります。つまり、群のあいだのほかの違いでも結果を説明できるということです。例えば、病状の重い患者ほど大麻を使いやすいのかもしれません。どちらの研究も、害があることを証明してはいません。それでも、2つのデータが同じ方向を示しています。MASCC(Multinational Association of Supportive Care in Cancer、国際がんサポーティブケア学会)は、チェックポイント阻害薬を使っている場合は慎重にするよう勧めています。
あなたにできること: 免疫療法を受けている人は、大麻製品を使う前に必ず腫瘍内科医に伝えてください。そうすれば医師が、この研究結果と患者本人の状況を照らし合わせて判断できます。
13. 免疫の弱い人にとっての汚染リスク
2020年に Emerging Infectious Diseases 誌に載った研究で、Benedict らは、診療記録に大麻使用の診断コードがある53,217人と、コードのない2,100万人以上を比べました。真菌(カビ)感染症が記録されていたのは、使用者で0.08%、非使用者で0.03%でした。年齢と免疫低下を調整した後のオッズ比は3.5でした。これは、真菌感染症になるオッズが使用者で約3.5倍高かったという意味です。感染症にはアスペルギルス症とムーコル症が含まれていました。どちらも肺やほかの臓器に入り込むおそれのある重い真菌感染症です。この研究デザインでは、大麻が原因だとは証明できません。それでも著者らは、免疫の弱い人では重症化や死亡のおそれがあると警告しました。
Frontiers in Microbiology 誌の2023年のレビューが、その理由を説明しています。大麻からは100種以上の真菌が見つかっており、Aspergillus、Penicillium、Mucor も含まれます。中には、アフラトキシンやオクラトキシンAといったマイコトキシン(カビがつくる毒)を出すものがあります。喫煙やベイピングの熱では、真菌の胞子がすべて死ぬとは限りません。
好中球減少症とは、好中球が非常に少ない状態です。好中球は感染と戦う白血球です。抗がん剤治療では、好中球減少症がよく起きます。好中球減少症の患者では、侵襲性アスペルギルス症の死亡率が非常に高くなります。また、残留農薬、重金属、溶剤も、カンナビノイドと一緒にオイルの中で濃縮されます。
訳者注:タイの雨季は湿度が高く、乾燥や保管の段階でカビのリスクが上がります。大麻の花穂のカビ毒(マイコトキシン)をご覧ください。患者向けに栽培しているなら、バッチごとにカビ、マイコトキシン、残留農薬、重金属の検査に出してください。検査で、そのバッチが免疫の弱い人にとって安全かどうかが分かります。結果の読み方は大麻の分析証明書(COA)の読み方で学べます。農薬は農業局(กรมวิชาการเกษตร)に登録されたものだけを使い、ラベルの表示を守ってください。大麻の残留農薬をご覧ください。
ラベルのないオイルが特に危険な理由
Bonn-Miller らは、31社がネットで販売していたCBD製品84点を検査しました。結果は2017年11月に JAMA 誌で発表されました。含有量がラベル表示の±10%以内に収まっていた製品は、約30%だけでした。ラベルに書かれていないTHCを含む製品もいくつかありました。
ラベルもなく検査もされていないオイルは、あらゆる点でさらに悪い状態です。濃度も、汚染物質も、溶剤も分かりません。何か問題が起きても、追跡や回収に使えるバッチ記録がありません。
あなたにできること: 抗がん剤治療を受けている人に、検査されていないオイルを絶対に渡さないでください。患者がすでに何かの製品を使っているなら、そのラベルと検査証明書をがん治療チームに見せてください。
14. 患者や介護者がすべきこと
このページで最も役に立つ行動は、医師に伝えることです。米国臨床腫瘍学会(ASCO)の2024年のガイドラインは、大麻の使用について、医師と患者が責めることなく率直に話し合うよう求めています。また、臨床試験以外で、がんそのものを狙った治療として大麻を使うことは勧めていません。腫瘍内科医は、知らない製品との相互作用を確認できません。何を、どれだけ、いつ使っているかを書き出し、そのリストを持って行ってください。診察で聞くとよい質問は次のとおりです。
- 自分はチェックポイント阻害薬を使っているか。使っているなら、アドバイスは変わるか。
- 血液を固まりにくくする薬を飲んでいるか、血小板が少ないか、転倒のリスクがあるか。
- 白血球数が、植物(花穂)を吸入すると感染のリスクになるほど低くなっていないか。
- 代わりに使える、承認されたカンナビノイド医薬品はあるか。
タイでの法的な位置づけ
大麻の花穂は、保健省告示「規制ハーブ(大麻)」仏暦2568年に基づく規制ハーブです。この告示はタイ伝統医療知識保護振興法 仏暦2542年に基づいて出され、2025年6月26日に施行されました。花穂を販売できるのは、資格を持つ医療者が出した PT 33(ภ.ท.33)処方箋がある場合だけで、処方は最長30日分です。治療効果をうたうものも含め、大麻の花穂の広告は禁止されています。花穂のネット販売も禁止されています。タイにおける大麻の広告・販売ルールをご覧ください。
規制ハーブに関する省令(第2号)仏暦2569年は2026年4月30日に施行され、大麻の花穂のライセンス規定を厳しくしました。大麻管理法案(Cannabis Control Act)はまだ法律になっていません。内閣は2026年9月22日に法案を承認し、下院に送りました。
これと違うことを言う人、とりわけ製品にがんへの効果をうたう販売者は、法律に違反しています。エビデンスもその人の主張を支持していません。
あなたにできること: 購入は合法な処方ルートだけにしてください。がんを治すと約束する販売者からは買わないでください。健康効果の虚偽表示は、タイ食品医薬品局(Thai FDA)のホットライン1556か、お住まいの県の保健事務所に通報できます。
15. 研究はどこへ向かっているのか
カンナビノイドが腫瘍と戦えるかどうかに答えを出せる試験には、次の5つが必要です。
- 医薬品レベルの品質で、成分が標準化された製品。
- 実験室の研究から必要とされる濃度に届く投与経路。これが最大の未解決課題です。
- カンナビノイドを標準治療の代わりではなく、標準治療に追加して使うこと。効果のある治療を行わないのは、倫理に反します。
- 現実的な生存率の差を見分けられるだけの患者数。
- 試験開始前にあらかじめ設定した、生存に関する評価項目(エンドポイント)。
症状への効果については、カンナビノイドと最新の吐き気止めを直接比べる試験が、次に役立つステップです。
それまでのあいだ、誠実に言えるのは「大麻には何の効果もない」ということではありません。標準的な薬で抑えられない抗がん剤による吐き気に対しては、ガイドラインも認める狭い役割があります。がんの痛みに対する成績は期待外れです。ほかの用途では、エビデンスが不十分です。病気そのものの治療で確立された役割はありません。
患者さんや介護者の方は、ぜひこのスレッドに投稿してください。 何を試したか、何が役に立ち、何が役に立たなかったか、もっと早く知っておきたかったことは何かを教えてください。こうした体験談は、次に不安を抱えてここを読む人の助けになります。あなたのがんのステージ、血液検査の値、飲んでいる薬のリストを知っているのは、あなたのがん治療チームです。ここにいる誰も知りません。ここで読んだことは、治療チームに持って行ってください。フォーラムの投稿を理由に、治療をやめたり、遅らせたり、置き換えたりしないでください。この記事も例外ではありません。
本記事は、Asiannabis Community の医療用大麻に関する教育シリーズの一部です。一般的な情報であり、医療上のアドバイスではありません。治療の判断は資格を持つ医療者が行うものです。内容は、医療用大麻が法的に認められている地域での教育を目的としています。
後編の参考文献
- Ramer、Hinz、がんにおけるカンナビノイドに関するレビュー、British Journal of Cancer、2022年。
- Carkaci-Salli ら、“Cannabinoids as Potential Cancer Therapeutics: The Concentration Conundrum”、Cannabis and Cannabinoid Research 9(4)、2024年。
- T細胞における大麻、CNR2、JAK/STATシグナルに関する研究、Signal Transduction and Targeted Therapy、2022年。
- Guzmán ら、再発膠芽腫に対するTHCのパイロット研究、British Journal of Cancer、2006年。米国国立がん研究所(National Cancer Institute)による要約。
- Twelves ら、再発膠芽腫に対するナビキシモルスとテモゾロミド併用の第1b相試験、2021年、および同時掲載の論説。
- ARISTOCRAT試験の試験計画書、BMC Cancer、2024年。
- Cancer Research UK、大麻とがん研究に関する声明。
- Johnson ら、代替医療と生存率、Journal of the National Cancer Institute、2018年。
- Johnson ら、補完医療と通常治療の拒否、JAMA Oncology、2018年。
- カンナビノイドの薬物相互作用に関するレビュー、Deutsches Ärzteblatt International、2023年。
- 大麻の薬物相互作用に関するレビュー、Journal of Clinical Medicine、2022年。
- Taha ら、大麻とニボルマブ、The Oncologist、2019年。
- Bar-Sela ら、大麻と免疫療法の治療成績、Cancers、2020年。
- Benedict ら、大麻使用者の真菌感染症、Emerging Infectious Diseases、2020年。
- 大麻のマイコバイオーム(真菌叢)に関するレビュー、Frontiers in Microbiology、2023年。
- Bonn-Miller ら、ネット販売されているCBD製品の表示の正確さ、JAMA、2017年11月。
- 米国臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology)、成人がん患者における大麻とカンナビノイドに関するガイドライン、2024年。
- 保健省告示「規制ハーブ(大麻)」仏暦2568年、タイ伝統医療知識保護振興法 仏暦2542年、大麻又はヘンプ抽出物に関する省令 仏暦2569年、規制ハーブに関する省令(第2号)仏暦2569年。