患者に合法的に大麻を供給するすべての国は、同じ問いに答えてきました。大麻は医薬品として、ほかの医薬品と同じく医薬品規制当局が扱うものなのか。それとも、専用の機関を必要とする特別な存在なのか。各国の答えによって、あなたの顧客が誰になるのか、どの認証が必要か、そして市場参入の前に輸入割当という壁があるかどうかが決まります。
本記事が扱うのは国際的な規制の枠組みであり、タイの法律ではありません。 タイ独自の制度は、当フォーラムの記事**「タイの大麻規則 2022年~2026年」**で別に取り上げています。タイでは、大麻の花穂は保健省告示「規制ハーブ(大麻)」仏暦2568年に基づく規制ハーブとされ、処方箋様式PT 33によって調剤されます。以下の内容は、タイで何が認められているかを説明するものではありません。
1. 国内法の上位にある枠組み
どの国も、自国の制度を設計する前から条約による制約を受けています。1961年の麻薬に関する単一条約は、規制物質を管理する最上位の国際協定です。この条約の3つの特徴が、各国の医療用大麻プログラムのあり方を決めています。
第4条は、規制薬物の用途を医療目的と科学目的に限定しています。 生産、製造、取引、流通、使用、所持のすべてが、この2つの目的に限られます。国際麻薬統制委員会は、この条約上の根拠に基づき、非医療目的の大麻使用を合法化することは条約に反すると繰り返し表明してきました。
第23条と第28条は、栽培を認める国に国家機関の設置を求めています。 この枠組みはもともとアヘンのために作られ、大麻にも適用が広げられました。栽培を認める国は政府機関を指定しなければなりません。その機関は、栽培者に許可を与え、収穫終了後4か月以内に全収穫物を物理的に引き取り、卸売取引・在庫・輸入・輸出について独占的な権限を持ちます。第28条には重要な適用除外があります。専ら工業目的(繊維および種子)または園芸目的で栽培される大麻には、条約が適用されません。これが産業用ヘンプ分野を支える条約上の根拠です。
第19条から第21条は、推計制度を定めています。 各国は、医療目的と科学目的に必要な国内需要量の推計を毎年提出します。1年間に製造・輸入できる総量は、この推計値を上限として制限されます。推計の確認、制度の運営、世界的な流通の監視を担うのは、ウィーンに本部を置く国際麻薬統制委員会(INCB)です。各国は統計報告も提出します。第19条により、年間推計が少なすぎたと分かった場合、各国は年度の途中で補足推計を提出できます。つまり、規制市場への供給量は需要だけでは決まりません。輸出業者が供給できる量は、輸入国の現行の推計値の範囲内に限られます。推計値は修正できますが、この正式な手続きを経る必要があります。
よく誤って説明される変更が1つあるので、触れておきます。2020年12月2日、麻薬委員会はWHOの勧告を受け、大麻および大麻樹脂を単一条約の附表IVから削除することを投票で決めました。附表IVは最も厳しい区分で、特に危険な性質を持ち、治療上の価値が乏しいとされる物質のためのものでした。大麻は現在も附表Iに記載されており、引き続き条約上のあらゆるレベルの規制を受けます。この決定は医療研究と医療用途に対する象徴的・実務的な障害を取り除きましたが、大麻を規制対象から外したわけではありません。
2. モデル1:大麻専門機関
このモデルでは、国が大麻をほかの医薬品とは別に扱う機関を設置または指定します。その機関が栽培者に許可を与え、生産を委託し、サプライチェーンを管理し、輸出入を担います。大麻は独立した区分として扱われ、処方、調剤、栽培、在庫保有ができる者について独自のルールが設けられます。
明らかな利点は2つあります。単一条約が求める機関の要件を直接満たせること、そして大麻製品が従来の医薬品登録を終えるのを待たずに、短期間でサプライチェーンを構築できることです。一方、明らかな欠点は並行する別の制度ができてしまうことです。大麻は通常の医薬品の仕組みの外に置かれ、独自のくせや独自の書類手続きを抱え、多くの場合、独自の政治的リスクにもさらされます。
3. モデル2:医薬品規制ルート
このモデルでは、大麻由来製品もほかの医薬品と同じルートをたどります。品質・安全性・有効性のデータに基づいて医薬品規制当局に登録され、その後、通常の薬局制度を通じて処方・調剤されます。
利点は一貫性です。登録された製品には、承認された適応症、承認された用量、添付文書、ファーマコビジランスの義務があり、責任を負う製造業者がいます。欠点はスピードと対象範囲です。大半の大麻製品は、臨床試験を含む従来の開発ルートをまだ終えていません。この区分がこうした扱いにくい位置に置かれているのは、まさにそのためです。登録済みのカンナビノイド医薬品は少なく、大半の法域では、生薬としての大麻の花穂はその中に含まれていません。
どちらのモデルも、高い水準で確保された品質・安全性・有効性という同じ3本柱に立っています。違うのは仕組みであり、目的ではありません。ほとんどの国は両者を組み合わせたハイブリッド型で、供給は機関が担い、それと並行して医薬品規制当局が登録製品を扱っています。
4. 実例
- オランダ(機関モデル)。 政府の医療用大麻局が、2001年1月1日から大麻に関する単一条約の履行を担っています。同局は薬局への医療用大麻の供給と、その輸出入を独占しています。薬局での処方箋による調剤は2003年に始まり、薬局を拠点とするプログラムとしては最も歴史の長いものの1つです。オランダの制度における処方医と薬剤師の側面は、フォーラムの別記事で取り上げています。
- ドイツ(ハイブリッド型)。 2017年、連邦医薬品規制当局であるBfArMの内部に大麻庁が設置されました。大麻庁は入札で国内栽培を委託し、収穫物を引き取って、製造業者、卸売業者、薬局に販売しています。輸入は引き続きBfArMの許可の下で行われています。
- 韓国(登録医薬品のみ)。 当時の報道によると、韓国は2019年の麻薬関連法の改正以降、すでに海外で承認されたカンナビノイド医薬品(Epidiolex、Sativexなど)に限って、患者の利用を認めています。これらは国の希少医薬品センターを通じて輸入されます。未承認の抽出物と花穂は、引き続き違法です。
5. アヘンという先例
この仕組みが機能し得るという根拠の1つは、急性リスクがより高い薬物群で、すでに機能している実績があることです。
国連条約と国内法の組み合わせにより、ケシはタスマニアで栽培され、世界各地の医薬品製造拠点に出荷され、病院や地域の薬局でコデイン、モルヒネ、オキシコドンとして調剤されています。栽培、製造、流通、調剤のどの段階も厳しく管理されています。
この枠組みを大麻に当てはめることは、新しい枠組みを作るというより、既存の枠組みを広げることに近いと言えます。大麻に対する要件の多くがオピオイドに課される要件と似ているのは、このことが一因です。ただし、それぞれの要件が大麻に適しているかどうかは、議論の余地がある問題です。
6. どちらのモデルにも生じる漏れ
どちらのモデルを選んでも、試金石となるのはアクセスです。処方の訓練を受けた医師や処方する意思のある医師が少なく、合法的な入手経路にたどり着きにくい場合でも、患者は大麻の使用をやめません。多くの患者は、検査を経ていない違法または半合法の供給源に頼ることになり、そこでは効力が予測できず、汚染も現実的なリスクです。法的には健全でも実際には利用しにくいプログラムは、患者の使用をなくしません。その使用を検査されていないサプライチェーンに移すだけです。事業計画では、この問題を存在しないものとして扱わず、織り込んでおく必要があります。
7. ビジネス上の意味
アジアでこの分野の事業を築こうとする人にとって、対象市場がどちらのモデルを選んでいるかで、実務上の4つの点が決まります。
| 問い | 大麻機関の場合 | 医薬品ルートの場合 |
|---|---|---|
| 顧客は誰か? | 機関、または機関が認可した輸入業者/卸売業者 | 医薬品の製造販売承認取得者 |
| 製品に求められるものは? | 機関の規格に沿って標準化された生薬原料 | 承認申請資料を備えた登録医薬品 |
| 必要な認証は? | GACPに加え、製造工程にはGMP | 製造販売承認に裏付けられた完全なGMP |
| 数量を制限するものは? | INCBに提出された国家推計 | 推計に加え、登録された適応症の患者数 |
どちらの場合も、商談が始まる前の時点で、国家推計が上限を決めています。輸入国の推計を超える供給契約は、単なる商業リスクにとどまりません。その国の推計が修正されるまで、たとえばINCBが確認した補足推計を通じて修正されるまで、納品できないのです。
8. 今後の方向性
この分野では、用語の変化が考え方の本当の変化を表しています。「医療用大麻」という言葉は、次第に**「カンナビノイド療法」**に取って代わられつつあります。これは植物ではなく、化合物(THC、CBD、テルペンなどのその他の成分)によって定義される区分です。この変化は、理解が植物そのものから、エンドカンナビノイドシステム、その受容体、人体が作り出すエンドカンナビノイド、植物が作り出すフィトカンナビノイドへと深まってきた経緯を反映しています。
規制面にも影響があります。製品が生薬原料から離れ、承認申請資料を備えた特性の明らかな化合物に近づくほど、医薬品ルートに自然に収まり、専門機関の必要性は小さくなります。これを進歩と見るか、範囲の縮小と見るかは、全草製剤には単離化合物にはない特性があると考えるかどうかによります。この点は、科学的にまだ決着していない問題です。
アジアのいずれかの市場で、許可当局と関わった経験はありますか。申請、輸入許可、割当の問題、却下など、どんな経験でも構いません。手続きの詳細は、公表されたどんな概要よりも、このコミュニティにとって価値があります。当局は実際に何を求め、どのくらいの期間がかかりましたか。
参考文献
- 1961年の麻薬に関する単一条約(1972年議定書による改正後)――第4条、第19–21条、第23条、第28条(国連条約集):https://treaties.un.org/doc/Treaties/1975/08/19750808%2006-05%20PM/Ch_VI_18p.pdf
- UNODC「CND、大麻および大麻関連物質に関する勧告を投票で決定」(2020年12月2日):https://www.unodc.org/unodc/en/frontpage/2020/December/cnd-votes-on-recommendations-for-cannabis-and-cannabis-related-substances.html
- INCB「麻薬の推計」:https://www.incb.org/incb/en/narcotic-drugs/estimates/narcotic-drugs-estimates.html
- 医療用大麻局(オランダ):https://english.cannabisbureau.nl/
- 大麻庁に関するBfArMのプレスリリース(2017年、ドイツ語):https://www.bfarm.de/SharedDocs/Pressemitteilungen/DE/2017/pm7-2017.html
本記事は、規制とコンプライアンスに関するAsiannabis Community教育シリーズの一部です。国際的な規制の枠組みについての一般的な情報であり、法的助言ではありません。また、タイの法律を説明するものでもありません。行動する前に、関係当局で最新の要件を確認してください。